憧れ
「憧れなんて無い1」
何故 本を読むのか
何故 映画を見るのか
何故 音楽を聞くのか
そして答える
私は作家や俳優やアーティストの人生を知りたいのでは無い
彼らの作品の中に自分の居場所を探しているだけだ
模倣なんてしない 参考にするだけだ
彼らに憧れなんてない 師として受け入れるだけだ
感情の発露における 感性の実態を知るのだ
現実における判断は 自分自身の知識と視覚と聴覚に頼る
想像は 完成されたものを 壊すところから始まる
昨日までの 歴史を超えるところから 現代が生まれるのだ
気に入った作品から 新たな自分を発見する
世の中で評判であろうと 巨匠であろうと関係ない
常に価値の判断は自分がするだけだ
傲慢では無い 謙虚である
頭を下げて 技術の教えを請うだけだ
古きを学んで新しいことを知る事では無い
古き作品の中に残った文化の燃えカスを広い集め
死に絶えた魂を蘇らせるだけだ
文化は常に その生きた時代にしか活力が無い
その生きた時代にしか香りが無い
だから憧れなんて無い
「憧れなんて無い2」
成功者は講演で本音を漏らさない
主宰者は集めた成功話を撒き散らす
出版社は成功論よりも利益の事しか考えない
一般読者はそれらを読んで毒に冒される
他人の功績に憧れなんてない
近道はしない 元気なうちは自分の足で歩く
そして歳を取り若者達から同じことを聞かれたら
一番大切な事は 成功者のコピーをするのではなく
失敗を繰り返しながら絶望の淵から抜け出す事なのだ
二番目に大切なのは 名誉や財産ばかりを望む事では無く
宗教や芸術から心の豊かさを学ぶことなのだ
三番目に大切な事は 尊敬されたいと思うのであれば
痛みや悲しみを知る人間になることなのだ
そして最も大切な事は どのような状況でも
自分を裏切らないことなのだと教える
憧れなんて持たなくて良い
心を打ち明ける友達が側にいれば十分である
それはもう一人の自分なのかもしれない