美しく生きる

 

「美しく生きる」

与えられた人生の中で
「幸福」を他人と比較をするのでは無く
自分の尺度を知り毅然とした態度で過ごす事が美しく生きる事です。

着物の世界で「裏勝り」という言葉があります。
羽織の裏に秘められた美の世界。
表地よりも裏地に高価な生地を使い派手な絵柄を施すことを「裏勝り」といいます。

人生で例えればこの様になるのでしょうか。
普段の生活では目立たぬように過ごし、困難に際しては誰よりも情熱をもって物事に対処する。
外面を飾るよりも内面の強い人こそが人としての「裏勝り」になるのです。

又、真珠貝は砂や小石やサンゴの欠片を飲み込み、
吐き出さずにしているから 素晴しい真珠を作りだすのです。

人もすぐに喜怒哀楽を表現するのではなく、
苦しい感情を飲み込んで耐えることも重要かと思います。
耐え忍ぶ生き方も美しく生きることのひとつです。

「強く生きる」

人間は木と同じようなものだ、
高みへ、明るみへ、 いよいよ伸びて行こうとすればするほど、
その根はいよいよ強い力で向っていくー地へ、 暗黒へ、深みへー悪の中へ」
ニーチェの「ツアラトゥストラ」の「山上の木」に書かれた一説です。

成功は破滅へ、名声は堕落へ、 信頼は欺瞞へ、常に両極と対峙しながら生きて行くのです。

「果華同時」

蓮の花は池の水面で咲き、咲くと同時に実(み)は泥の中で生まれます。
大きな華であれば有るほど実は深く暗い部分で育つのです。

理想だけでは強くなれず現実の醜い部分も経験しなければ本当に強くなれないのです。
狂気の思想と鋼のような心臓と天使のような慈悲が必要です。
表裏一体を認識し経験できる人こそ強い人です。

「楽しく生きる」

頭の中から三毒(貪欲・瞋恚・愚痴)を取り除かなければなりません。

一つ目は「貪欲」(どんよく)の心です。
地位や名誉や財産そして出世欲や安定した生活を限りなく求める欲の心です。

二つ目は「瞋恚」(しんに)の心です。
他人と比較して自分の手に入らない部分(物や地位や財産)に 、
嫉妬の炎を燃やして怒りが収まらない妬みの心です。

三番目は「愚痴」(ぐち)です。
他人が所有していて自分が所有していない物、本当に必要なのかも分からずに
文句を言う蒙昧の心です。

周りに流されて生きていくと、欲しい物と必要な物の区別が出来なくなり、
常に愚痴を言うだけの人生です。

楽しく生きる事は必ずこの三毒を取り除かなければなりません。
終わりの無い欲を追い求めるよりも、「小欲知足」を学ぶ事です。

欲の無い人ほど楽しく生きる事ができるのです。

「気楽に生きる」

「知命楽天」とは、自分の運命を知り楽しく過ごす事である。

「日日是好日」とは、毎日が最高の一日だと信じて生きる事である。

「莫妄想」とは、あれこれ妄想を駆り立てて悩む事は無い事である。

「則天去私」とは、すべてを天に任せて私を捨て去る事である。

「無一物」とは、もともと生まれた時には何も無かった事である。

喜劇王チャップリンの言葉に
「人生は近くで見ると悲劇だが、 遠くから眺めると喜劇である」

天上界の人はいつも人間を見て笑っていると思います。
お気楽に行き(生き)ましょう。

「感謝して生きる」

毎日目を覚ます事に感謝、健康でいることに感謝、
仕事がある事に感謝、家族に感謝、
大きな声で笑ったり泣いたりできる事に感謝、
美味しい物を食べたり飲んだりできる事に感謝です。

晴れたら空に感謝、花が咲いたら大地に感謝、
共に暮らす木々や鳥や動物にも感謝、
世界に広がる自然万物全てに感謝です。
大宇宙の中で人間として生きていける事に感謝です。

「余命一ヶ月の花嫁」長島知恵さんの言葉。

「明日が来る事を奇跡と思って今日一日を輝く日にしたい」というのがありました。
これ程素晴らしい感謝の言葉は無いと思います。
当たり前の事に感謝できる気持が人にも地球にも優しくなれるのです。

感謝しましょう。

「返して生きる」

恩返しです。受けた恩を返さなければなりません。
親に恩師に上司に社会に国に返さなければなりません。

大きさの問題ではありません。気持ちの問題です。
歩いてきた道を少しだけ掃き掃除をするような事で十分です。

若いときには「恩」を理解することは難しいかも知れません。
しかしこの言葉だけは忘れないで下さい。

「受けた恩は石に刻み与えた恩は水に流す」

人から受けた恩は忘れないようにして、人に与えた恩はすぐに忘れましょう。

恩返しは人生の折り返し地点50歳を過ぎてから真剣に考えて欲しい事です。

「死ぬまで生きる」

「人間の寿命なんてそれぞれ違うから年齢だけでもうすぐお迎えの来る年だなんて言うものでは無い。」

作家の宇野千代さんは98歳になっても2~3年先のスケジュールを書き込んでいたと云う。

しかし病気に見舞われた時に気力が衰えるのは仕方が無いが、
それ以上に周りが「死」を意識して介護するのだけは、やめて欲しいものですと述べたという。

詩人のサムエルウルマンが
80歳の時に書いた詩に「青春」というのがある。
「人は年齢を重ねただけで老いない。人は夢を失ったとき初めて老いる。
20歳の若者が臆病であればそれは既に老人である。
しかし夢多い60歳がいるとすれば、正に青春真只中である。」

誕生日は年を増やしたことを祝うのでは無い。青春の喜びを祝う日である。

その昔、お年寄りがいる日本の家庭にはこんな張り紙があった。
「四十は鼻たれ小僧、五十六十花なら蕾、七十八十働き盛り、九十になって迎えが来たら
百まで待てと追い返せ」

みなさま笑いながら死ぬまで生きましょう。