フロンティア精神
創造力の向かうところには希望がある。
我々は常に現状を悲観することなく、そして他者を批判することなく
恐れずに未来へと一歩踏み出す勇気が必要である。
荒涼とした大地に、嵐の海に、未開のジャングルへと足を踏み入れる。
人々が渇望する希望の光を求めて大地をさまようのだ。
我々は次の世代へと繋ぐ為に「常に開拓者たれ!」を肝に銘じたい。
開拓者精神の「開拓」とは、未開の地に踏み込んで生活基盤をゼロから
築き上げ、街や都市を作り上げていくことを意味する言葉です。
これらはアメリカの開拓時代にその生活の中で培われた気質を踏まえ、
フロンティアスピリットとも呼ばれることもあります。
ここから転じて、開拓者精神とは新しさを恐れず取り入れる先進性や
未知の領域に挑戦する勇敢な心、積極的な活動力、既存の権威ではなく
能力を評価する姿勢などを表す言葉として使用されます。
ここからビジネスにおける「開拓精神」を学んでいきましょう。
開拓精神はいずれもビジネスで重要な姿勢であることから、
人材に求めるスタンスとしても重視されています。
なぜ開拓者精神がビジネス現場で求められるのか
現代は変化が激しくかつ見通しを立てにくいことから、
変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の頭文字をとって
VUCAの時代であるといわれています。
多くの企業にとって環境変化への対応が緊急度の高い課題となっており、
このことからビジネスシーンにおける開拓者精神は
ますます重視されるようになっています。
開拓者精神が求められる変化の一つとして、社会情勢の変化が挙げられます。
例えば、近年では新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、
私達の生活様式やワークスタイルも大きく影響を受けました。
それまでなかなか進む気配がなかった在宅ワークを中心とした働き方改革も、
必要に迫られてこの数年で一気に推し進められました。
また直近では、新型コロナウイルス感染症は完全に収束したわけでは
ありませんが、通常の経済活動を取り戻すに伴ってハイブリットワークを
検討し、新しい働き方を模索する企業も少なくありません。
その他、LGBTQをはじめとした多様性に対する関心の高まりや、
地球温暖化など持続可能性に対する問題意識など、企業が向き合うべき
課題はより複雑になっているように見えます。 このような変化が激しい
環境において先行きが見えない事態を切り開くためには、既存の状態を
当たり前として現状維持を考えるのではなく、常に新しい状態に
適応していくという意識が必要でしょう。
その際に開拓者精神の恐れず進んでいく精神が重要となるのです。
また近年はIT技術の進化によって、既存のビジネススキームや
製品開発のあり方が変わり、技術による効率化で人々の働き方も
大きな影響を受けてきました。直近では、Chat GPTの登場によって
新しいビジネスが多く誕生し、業務におけるAI活用がこれまでになく
注目を集めています。
こういった事態に対処していくには、単に柔軟性というよりも、
開拓者精神の中で語られる「先進性を取り入れる気概」が必要となってきます。
近年のAIの進化は、あらゆる仕事を効率化するチャンスがありながらも、
多くの人の仕事を代替する可能性も含んでいます。
今までの働き方や常識では対処できない事象に対して、多くの人は
その不安から積極的な活用を試みないかもしれません。
しかし、慢性的な人手不足や経済状況を鑑みると、
「この技術がどう活用ができるのか」、「新しく何ができるのか」を
考えることが求められています。こうした技術の進化や
パラダイムチェンジは今後も起こりうると考えられるため、
その環境に順応し競争力を高めていくには開拓者精神を持つことが
何より重要です。
1.挑戦心
開拓者精神を語るうえで最も重要な要素の一つが、挑戦心です。
未知の領域へ恐れず進んでいく、まさに「開拓」を象徴するような能力です。
現代のビジネス現場においては、既存の方法論が通用しなくなっている
ばかりか、新しく生まれたIT技術やAIに既存の仕組みが取って代わられる
可能性があります。 そんな中で頼りになるのが、新しい手法や分野、
場合によっては新規事業などに挑戦していく気概です。
2.意欲的な活動力
何事においても意欲をもって、「自分事」として取り組むことは重要です。
そのような意欲的な活動力も開拓者精神の要素の一つです。
新しいことに挑む際にはどうしても二の足を踏んでしまうのは
仕方がないことです。前例がないことを行うには、身体的だけでなく
精神的な負担も大きくなるでしょう。そういった重圧を跳ねのけ、
挑戦しつづけるためには活動力は必要なのです。
3.自助意識
開拓者精神の原義に立ち換えると、自助意識が大きな意味をもっていたことが
分かります。 祖国を離れ既存のインフラがない状態で開拓を行うためには、
強固なコミュニティーを形成してお互いを助け合うことはもちろん、
自分の身を自分で守ることがいかに重要だったか、想像に難くないでしょう。
自助意識とは、自立精神や自主性と言い換えることもできます。
前述した通り、昨今のビジネス環境の特徴として変化スピードの速さが
挙げられます。そのような環境下で成果を出し成長を続けていくためには、
従業員自らが自主性をもって業務に取り組んでいくことが重要となるでしょう。
4.能力主義
開拓者精神には、ある意味では個人主義の側面があり、
その面が強調されているのが能力主義です。
既存の権威や肩書ではなく、何ができるかという能力によって
評価するというものです。 日本特有の終身雇用型の雇用は崩壊して久しく、
1人が複数社での勤務を経験することが増えました。それに伴い、
年齢ではなく何が出来るのかによって人材を評価する傾向も強まっています。
あえてこの時期に開拓精神を取り上げたのは世界中が過去に作られた
システムに頼り戦うことを選ばず、世襲するだけの安易な政治や経済
活動に明け暮れて民衆のために何も開拓していないからです。
新しい時代は破壊から始まるのです。そして破壊の先の建国の創造を
していかなければならない。
利益のために人づくりではなく、人づくりのための利益でなければ
ならないのにすっかりその精神が無くなっています。
偉大な経済人松下幸之助は海外から視察に来た要人たちから
「この会社は何を作っている会社ですか?」質問を受けた際に
「我々の会社は人を作っている会社です。時折り家電も作っています」と
答えたと言う。
開拓精神のフィロソフィーは誰でも理解できると思います。
しかし、それを実行させるための人材の育成が大切です。
人の心に火がつかなければ開拓精神は芽生えないのです。