気づきと目覚め




教育から受ける知識と経験から学ぶ智慧がある。
知識は生きていくうえで不可欠なものであり学問に励まなければ得られない。
智慧は個人が何らかの影響を受けて問題を解決した時に得られるものである。

社会に出て仕事を覚えていくにも知識がなければ上司の指示の意味が理解できない。
大人の常識と言われるマナーから専門的な分野まで実行できる者が出世していく。
中には勘違いをして一流大学出身とか親の七光りで偉そうにする人もいる。

しかし知識は過去の学問であり未来に対応できるかは別問題である。
様々な経験や苦労を重ねて成功した時に初めて知識が自分のものとなる。
知識を得る方法は年齢に関係は無く好奇心があれば死ぬまで学び続けることが出来る。

智慧は「おばあちゃんの知恵」など代々受け継がれるものが多い。
農家には農家の知恵があり、漁師には漁師の知恵があり、林業には林業の知恵がある。
食物や家具・食器・着物まで無駄をなくしてエコとリサイクルで活用してきた。

明治に入り始めて女性が教育を受けることが許可された。
それまでは嫁いだ先の姑から口伝で女性の学ぶべきことを教えてもらった。
武士の家にまつわる仕きたり、裁縫、料理、子育て、中には和論語や薙刀の訓練もした。
勿論、専門のお師匠さんから習ったものを、その家なりの家風として伝えていくのである。

「当時の女にとって、家庭は教室でもあり、職場でもあり、哺育所でも、養老院でもあり、
いっさいを意味していました。女たちはそこで子供を育て、年寄りをいたわり技能を習得し
鍛錬もされました」山川菊枝「武家の女性」より

ユダヤの聖典タルムードも先人たちが経験した事柄や、人間関係、取引での問題解決の
方法など、民族が受け継がなければならない大切な教えが書かれている。

タルムードは、ユダヤ教の口伝律法と学者たちの議論を書きとどめた議論集で、
古代ヘブライ語で「学習」「研究」を意味する。

*「最悪なことが最良のことだと、信じなければならない」
(悪いことが重なっているように見えても、人知の及ばないところで、
もっと悪い事態から救われているかもしれない)
*「金がありすぎると人間は、獣のように警戒心が強くなるが、
金がまったくないとなりふり構わない本当の獣になる」
(ユダヤ人が経済的に成功するのは、何世代も知恵を伝承してきたからである)
*「今日あなたは、穀物倉庫を見て、穀物の量を数えようとした」
 その瞬間からあなたは神から見放される。
(ユダヤ教では、お金や物など、「数えられるもの」には幸せは宿らない、
「これだけ儲かった」と考えた瞬間に、神の庇護がなくなるとし、
「お金儲けに一喜一憂すること」を明確に戒めているのだ)
タルムードより

AIが知識を担当する時代に入った。
単語を検索する時代から文章を検索する時代に入ったのである。
今、はやりのChatGPTやGoogle Bardを使えば卒論から企画書、提案書まで、
誰でもが瞬時に作成できるのである。

智慧の役割はデーターには無い情報の裏読みと判断である。

アメリカの大統領室が会議で取り入れているのが、OODA(ウーダー)という
戦略的会議の進行スタイルである。
ObserveのO、情報収集をして、OrientのO、状況判断をして、
DecideのD、意思決定をして、ActのA、実行に移る。

それまではPDCAが主流だった。
PlanのP、計画をして、DoのD、実行をして、CheckのC、測定・評価をして
ActionのA、対策・改善をする。検証型プロセスを循環させ、
マネジメントの品質を高めようという概念。

時代が変わり、これまでのようなやり方で企業なりの理想を描いても、
顧客も市場も受け入れることは無い。
企業の一方的な生産性を高めるための方程式は通用しなくなったのです。

昔CIAの友人からCIAの意味を知っているかと尋ねられた。
セントラル・インテリジェンス・エージェンシーと返答したところ、
セントラル・インフォメーション・エージェンシーだと教えてもらった。
インテリジェンス(知識)は調べれば誰でも手に入ることであり、
インフォメーション(情報)は集め方と使う人によって価値が変わる。

大切なことは知識ではなく新鮮な情報だということです。
新鮮な情報は智慧と組み合わせれば最強だということです。

気づきによる目覚めが大切になる時代です。
今日あなたはいくつの気づきがあるでしょうか?