愛語よく回天の力あり
「面(むかい)いて愛語を聞くは面(おもて)を喜ばしめ、
心を楽しくす。面わずして愛語を聞くは、肝に銘じ、魂に銘ず。
愛語よく回天の力あることを学すべきなり。」道元禅師
面と向かって優しい言葉をかけられれば、
自然と顔に喜びがあふれ、心が楽しくなる。
また、人づてに優しい言葉を聞いたら、その言葉が心に刻まれ、魂がふるえる。
それは、愛語が人を愛する心から生まれ、人を愛する心が、
他人をたいせつに思う心の中から、芽生えてくるものだからです。
本当に、優しい言葉というのは、世界を変える力があるのだということを、
私たちはよくよく学ばなければいけません。
勇気を与える言葉は直接相手に伝えた方が、心に響きます。
褒める言葉は直接よりも第三者を通じて伝えた方が、心に響きます。
戒めの言葉は誰も居ない所で教える方が、心に響きます。
伝え方を間違えれば相手に恥をかかせることにもなります。
そして心に傷をつけてしまう事もあります。
たった一言の心無い言葉で自殺する子がいます。
気付いてやれば良かったと、泣きながら話す友人や両親がテレビに登場します。
ストーカー被害の人が追い詰められて殺されてしまう事件があります。
その時に対応した相談員や警察官は被害者の言葉や表情から、ことの重大さに気付かなかったのでしょうか。
心配は何も無ければ安心につながります。
もっと言葉に敏感になってはどうでしょうか。
現代社会はルールに拘束されながら文字で情報を伝える為に、
言葉の持つ力を重要だと思わなく成ってしまったのではないでしょうか。
もし人間が100の言葉しか与えられていなかったらどうでしようか。
一言・一言をとても大切に使うのではないでしょうか。
生きる為の言葉、愛の為の言葉、慰めの言葉、希望の言葉、感謝の言葉、
残りの言葉数を数えながら使うとすれば決して疎かにする事は出来ません。
スポーツ選手やアスリートが競技場に出る前に監督やコーチから声を掛けられます。
今日のコンディションに合わせて自信が沸き起こる言葉を掛けるのです。
アーティストがステージに出る前にもスタッフが声を掛けます。
お客様の状況を伝えながら興奮度を上げて行く言葉です。
「初めてのお使い」と云う番組で子供が買い物に出かけます。
ママのお願の言葉で冒険に出かけるのです。
そして泣きながら目的を達成しママに抱き締められて「ありがとう」の言葉をご褒美で頂くのです。
みんな言葉の魔法で勇気がでたり、傷ついたり、元気になったり、喜んだりします。
そんな大切な言葉を疎かにせずに大切にしたいものです。
愛語よく回天の力ありです。
言葉は人生を大きく変えることが出来るのです。