人生の公園
大きな公園の入り口で大人も子供も何に乗りたいのか迷ってしまっている。
どれもこれも興味をそそられる物ばかりなので本当に迷ってしまう。
しかし決めなければ、いつまでも乗り物に乗る事が出来ずに、
長い列に並び続けなければならない。
何故、これだけの乗り物を用意しなければならないのか。
無駄な物が溢れている為に本当に欲しい物が見えなくなる。
その事に気付き始めた日本人が多くなってきた。
アメリカに大型のアミューズメントパークが多く存在するのは、
経済的発展の先には必ず市民の娯楽が必要だったからである。
移民国家アメリカでは、貧しい移民たちが建国の希望を膨らませる為には、
腹いっぱいに食べて、快楽を貪り、娯楽が目の前にある事が必要だった。
言葉も文化も風習も違う多国籍の国家では、本能を満たすのが一番労働意欲を掻き立てるのである。
この様な奴隷的システムは、金持ちと政治家と企業家のコントロールで作られたと言っても過言ではない。
アメリカが戦後占領地政策で日本に取り入れた事は、世界的に最も優れている
この民族を堕落させる為に、アメリカと同じようにする事だと判断したという。
そこでまず日本に導入されたのが3S政策であった。
「スポーツ・スクリーン・セックス」の三つのSである。
欲望の快楽を映像で見せつけられ、束縛の無いこれが「自由」だと洗脳したのである。
日本人は見事にこの手に乗ったのである。
それまでに教えられてきた勤勉・勤労・禁欲は、一瞬に忘れ去られて、日本人の思想体系が崩されたのである。
日本という小さな島国で共栄共存して行くには、少ない物で満足する工夫を様々に取り入れて来た歴史がある。
伝統行事、冠婚葬祭、農作物豊漁祭、諸事祝い事で、心の豊かさを作って来た。
消費文化では無く節約文化を重視してきたのである。節約こそが日本の美徳だったのである。
その後、この三つのS以外に三つのCも加えられた。
「キャッシュ・カード・クレジット」の3Cである。
労働の報酬として毎月キャッシュ(現金)が入る。
定期的に入る現金収入は消費に対して歯止めが利かなくなる。
その上に農業国が工業生産国に変わり多くの外貨を獲得した。
海外に出向く人も多くなり、現金を持たずにカードで精算をする。
その為にお金の現実感が無くなり浪費を生み出してしまう。
国内でもカードで精算をする人が多くなりカード破産という現象も起きてしまった。
日本人は昔から借金に対しては恥ずかしいという考えがあったが、
突然クレジットという魔物が襲い掛って来て、借金を分割という言葉に変えて羞恥心を取り除いてしまった。
目の前に「家・車・電化製品」をぶら下げて、数年~何十年分割で手軽に商品を購入させて、
その間の金利で利益を得る。
頭の先からつま先まで、果ては、生命保険から教育費までが、
このクレジットという魔物に食い潰されているのである。
一生労働した利益をアメリカ型の戦略に屈して支払っているだけである。
この方式から離れなければ日本人は決して「金持ち父さん」にはなれないのである。
ましてや現代では、多くの商品が人を介さないで売買が成立してしまう時代である。
それ故に、消費に関して臆病になる事が無くなってしまった。
パソコンから世界中のあらゆる商品が買える。タッチパネルで現金が下ろせる。
携帯電話が財布やキップ代りになる。
街中の格安量販店には、海外で作られた日用品雑貨から衣服までが山積みになっている。
テレビを点ければ座ったままで健康器具から健康食品・化粧品までが電話一本で購入できる。
正に大きな公園の入り口で大人も子供も何に乗りたいのか迷ってしまっている。
どれもこれも興味をそそられる物ばかりなので、本当に迷ってしまっているのである。
しかし、自分一人が乗れる時間は限られているのです。
目移りするのではなく、冷静に乗りたい物の列に並べば良いのである。
この言葉を忘れてはならない。「子供は欲しい物を買うが、大人は必要な物を買う」
一番勿体ないのは、不要な物を買おうとして悩む時間です。
あなたは「人生の公園」の前で未だ悩んでいますか。