億劫とは




みんな口癖のようにいう言葉。
「億劫」だから行きたくないと返事をする人。
最近では若者もよく使うが歳をとるとどうしても出てしまうのがこの言葉です。
もう面倒くさいことはやりたく無いと避けるようになって「億劫」がでてくる。

億劫とは「おっこう」が「おっくう」に
億劫(おっこう)とは、1劫の億倍ですから、とても想像できないほど
長い時間のことです。その億劫(おっこう)が、
どうして今日(こんにち)の億劫(おっくう)になったのでしょうか。
億劫とはとてつもなく長い時間ですが、「時間が長くかかるため、気乗りしない」
「時間がかかることは面倒くさい」ということで、長い時間の「おっこう」が、
今日の「おっくう」の意味で使われるようになりました。

ここで億劫とは、人間に生まれない前の過去世の果てしない
長さを表されています。この果てしない過去世から比べますと、
今、生まれてから死ぬまでの人生はあっという間、瞬間的なものです。
「ついこの間、あけましておめでとうございますと年が明けたと思ったのに」
と時の過ぎゆく速さへの驚きを、何度言ったり思ったりしてきたか
わかりません。あれよあれよと、時間は過ぎていきます。
時間は一方通行で逆戻りはありません。

さらに「劫」の永さを強調したのが「永劫(えいごう)」です。
一般には、「未来永劫」とか「永劫回帰」と使われますが、仏教では
「ようごう」と読みます。永劫も仏教から生まれた言葉です。

更に憶測(おくそく)とは
憶測には「自分で勝手に推し量ること」の意味があり、根拠なく、
いい加減に推量することをいいます。「憶」と「測」の漢字の意味を確認しましょう。
憶(臆): あれこれ思いを巡す、推し量る測: 予想する、推し量る
つまり「憶測」とは、似た意味の言葉から成り立っていることがわかります。

憶測は「根拠なく、いい加減に」という意味があるのに対して、
推測は「得た知識や情報をもとにして」という意味があります。
つまり憶測と推測とは、根拠となるものがあるかないかで使い分けることが
できるというわけです。

ある出来事に対してあれこれと意見が挙がったとしても、確実な根拠がなく
どれも信用できないという意味です。「事故原因について多くの意見が
出ているが、どれも憶測の域を出ないものばかりだ」などと使います。

憶測でものをいう
根拠がないにもかかわらず、あれやこれやとまるで真実であるかのように
話すことを言います。「憶測でものを言うのはやめなさい」などと使います。
今話題の仲居正広のSNS上における発言はすべて憶測によるものです。

憶測を生む・憶測を呼ぶ
ある出来事をきっかけに、根拠のない意見が多く出回ることを「憶測を生む」
「憶測を呼ぶ」と言います。「彼の死はさまざまな憶測を生んだ」
「その会社の倒産が、多くの憶測を呼んだ」などと使います。
先日行われたフジテレビの記者会見は「倒産」という憶測が生まれました。

憶測の類語・言い換え表現
憶測の類語は推測や予測のほかにもあります。いくつか見ていきましょう。
忖度(そんたく)
忖度とは「人の気持ちを推し量る」という意味の言葉です。忖度は2017年の
流行語大賞に選ばれたこともあり、聞いたことがあるという人も多いでしょう。
「根拠なくいろいろと思いめぐらす」という意味で、憶測と似た意味になります。
日本人は集団になると必ず「忖度」が生まれます。
ある意味ゴマすりと同じ感覚で使われています。

見做す(みなす)
見做すとは「そうでないものを、仮にそうだと決める」
「こうであると判断して決める」という意味の言葉です。
「返信のない方は、欠席だと見做します」のように使います。
「彼は貧しいから勉強しないと見做します」こういう風潮がありました。

当てずっぽう
当てずっぽうは「当て推量」が由来だとされています。この「当て」とは
「将来の見通し、見込み」のことで、つまり当てずっぽうとは、
「将来の見通しをいい加減に思いめぐらせること」という意味です。
女性週刊誌の売り方の手法で、最初はあてずっぽうで、
次は今の段階はこうです、最後に真実が明らかにされましたと、
一つの情報を三回に切り分けると有名なレポーターから聞いたことがあります。

揣摩憶測(しまおくそく)
あまり聞き慣れないかもしれませんが、「揣摩憶測」という言葉もあります。
「揣摩」とは「他人の気持ちなどを推し量る」という意味です。
勝手に想像し、あれこれ意見をいうことを「揣摩憶測が飛び交う」などと
表現します。しかし最近ではほとんど使われることはありません。

憶測の対義語は、断定、熟考、吟味
憶測の対義語には、断定、熟考、吟味といった言葉が挙げられます。
意味はそれぞれ、以下のとおりです。
断定: 物事にはっきりと判断をくだすこと熟考: 念を入れてよく考えること
吟味: 念入りに調べること、選ぶことこれらの言葉は、
「根拠があいまいなまま思いを巡らせる」という憶測とは、
反対の意味の言葉だといえるでしょう。

さて億劫と憶測の違いはお分かりになったでしょうか?
話し言葉は使う言葉を選ぶ時から意味を理解しなければ笑われます。
日常でよく使われるこの二つの言葉は年寄言葉かと憶測します。
みなさまも億劫がらずにこれからも勉強に励んでください。

私のSNSでの投稿「今日の一枚・今日の一言」でも「億劫」を紹介します。
そちらもお楽しみください。私のブログも億劫がらずに更新します。