和について考える
和で思い出す言葉として必ず平和が挙げられます。
しかし一番の不思議は今までに平和の定義がない事でした。
戦争の定義はあるのに平和の定義がない!
だけど神仏混合の日本では平和の定義が無くても和合は当たり前の考えです。
これは世界に類が見られません。
海外では制定されたものでない限り人を崇め奉ることはしないことです。
飛鳥時代の貴人、聖徳太子の「和を以て貴しとなす」が活きています。
日本人が子供の頃から疑問を持たない平和について検証したいと思います。
平と和にはどんな意味があるのでしょうか。
[平]は、于(う)と八を組み合わせた形です。于は手斧の形、八は木片。
手斧で木を平らかに削って木片が左右に飛び散る形が、
平で「たいらかにする、たいら」の意味となりました。
平定、平和、平安、公平、平等、平生などよく使われます。理想の都平城京、
平安京は素晴らしい名称です。「平穏無事」も平和で幸福な状態を表しています。
平和と幸福はふかく結ばれています。
[和]は、禾(か)と口(さい)で出来ています。口(神への誓いや祈りの
文を入れる器)を置いた軍門の前で誓約して講和(戦争をやめて平和な状態に
もどす)することを和といいます。
和睦のしるしとして、双方が共に参加して祝宴を開き、互いに平和を祝う
祝餐を行います。一説によると、禾は穀物や食物をあらわし、これを口に
入れる、食べると自ずから「なごやか」になることから、
幸福の状態としての和やかさになったとも言われます。
必要なものに満たれる、充足、満ち足りると平和で「しあわせ」を
感じるものです。幸福になる秘訣は何処にあるのでしょうか、
考え思い巡らせてみたいと思います。
「神からの恵みと平和がみなさんにありますように!」このように祈ります。
しかし口当たりの良い挨拶言葉として使われていることが多い。
「ご機嫌よう」と同じように扱われていると思います。
「和」は形声文字です。「口」の象形と「穂先が茎の先端に垂れかかる」
象形(「稲」の意味だが、ここでは、「會(か)に通じ、「会う」の意味)から、
人の声と声が調和する「なごむ」を意味する「和」という漢字が
成り立ちました。
わ‐かい【和解】
[名](スル)
1 争っていたもの、反発しあっていたものが仲直りすること。
「対立する二派が和解する」
2 民事上の紛争で、当事者が互いに譲歩して争いをやめること。
契約によるものと、裁判所においてなされるものとがある。
3 ⇒わげ(和解)
[補説]書名別項。→和解
[類語]仲直り・和睦・和議・和平・和戦・講和・休戦・停戦・終戦・
矛を収める・水に流す・元の鞘に収まる
和が解けると書いて和解です。反発が解けて和解では無いのです。
それでは不和という意味はどうなるのでしょうか?
単に仲が悪いことを不和というのでしょうか?
自分にしっかりとした考えがなく、他人の言動にすぐ同調することを
「付和雷同」という言葉があります。多くの政治家は反省すべきです。
どうしても和と言えばポジティブなイメージが湧き起こりますが、
そうでないこともあるということです。
不和に関する文章を紹介します。
• 云々という言葉の内容自身が、人間というものは独創的でなくっちゃいかん、
不和雷同するな、人の言ったことや、したことの真似をすると嗤われるぞという、
いわば独創の宣伝みたいな意味を含んでおります。ところがですね、「猫も杓子」も
云々というような・・・ 織田作之助 「猫と杓子について」
• 世間或は之を見て婦人の嫉妬など言う者もあらんなれども、凡俗の評論
取るに足らず、男子の獣行を恣にせしむるは男子その者の罪に止まらず、
延いて一家の不和不味と為り、兄弟姉妹相互の隔意と為り、其獣行翁の死後には
単に子孫に病質を遺して其身体を虚弱なら・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
• およそ古今世界に親子不和といい兄弟姉妹相争うというが如き不祥の沙汰少なからず
して、当局者の罪に相違はなけれども、一歩を進めて事の原因を尋ぬれば、
その父母たる者が夫婦の関係を等閑にしたるにあり。なお進んで吟味を遠くすれば、
その父母の父母・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
• 夫婦の不和や家庭破壊の問題がおこったとき、どんな幼稚な身の上相談にしろ、
先ずその原因を冷静につきつめて、と答えている。あのことも、このことも
敗戦がわるい、というならば、どうしてその敗戦などという現象がおこったのか。
そもそもの原因までさ・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
和の語源を追求していたら明け方を迎えました。笑い
明日も「和顔愛語」で生きていきます。
そして最後に忘れてならない「和」とは川端康成の「陰翳礼讃」です。
日本建築の陰を主役にした発想が「和」そのものです。
明るさを求める西洋の文化と暗さを褒め称える日本の文化の違い。
平和の陰で悩む苦しむ戦争の被害者達うずくまる子供達を
救えるのは日本だけなのです。
2024年10月11日
ノーベル平和賞受賞「日本原水爆被害者団体協議会」
世界で平和を訴えることが出来るのは日本だけです。
伊丹谷良介「うたライブ」今月は10月11日・12日開催。
テーマは「和」でした。平和を謳いあげる直前にこの受賞が発表されました。
奇跡です。これまで日本文化を推奨してきて良かったと思った瞬間でした。
12日には篠笛奏者の方と即興で「イマジン」を演奏しました。
感動の夜を「うたライブ」では毎回お客様と作り上げています。
ご興味のある方は伊丹谷良介のサイトへお申し込みください。
来月11月のテーマは「人間」です。
お待ちしています。