成功の法則




若い人からの質問で一番多いのが「成功の法則」ですが、
成功とは目指すゴールにたどり着いた人だけを言うのではないと答えています。
成功は記録として一過性のものであり永遠に成功の余韻にひたる訳にはいきません。
成功に到るまでのプロセスが最も大切で、そこに人間的成長と思考の成長が
兼ね合わされて次のトライに大いに役立つのです。
また成功の法則はエンドレスで無限に続くので終わりはありません。
成功は時期が過ぎると古い自慢話になる恐れがあります。

登山家栗城史多のコメントより
成功の反対は「何もしないこと」

私は山登りを通して、苦しみには3つの特徴があることに気づきました。
1つは、「苦しみと闘おうとすればするほど、その苦しみは大きくなっていく」。
もう1つは、「苦しみから逃げても、どこまでも追ってくる」ということです。

人間の身体器官の中で、酸素の使用量が一番多いのが脳だといわれています。
そのため、苦しい時に焦ったり、熱(いき)り立ったりすると、脳がどんどん
酸素を消費してしまいます。

7500メートル以上の世界では、少ない酸素をいかに無駄なく取り入れるかが
大切なので、体力的に、精神的に本当に苦しい時に、あえてそこで
「ありがとう」と言いながら登るんです。

そうやって苦しみを受け入れると、不思議と心が落ち着いてきて、
無駄な酸素を使わずに山を登ることができるんです。

そして特徴の3つ目は、「苦しみは必ず喜びに変わる」ということ。
例えば、高尾山のような低い山は簡単に登れてしまうので、
登頂してもあまり感動は沸いてきません。
しかし、8000メートル峰を登頂した時は、それまでの苦しみが大きい分、
得られる達成感も半端じゃない。

「苦しみの分だけ、喜びがある」
だから、苦しみは決して悪いものじゃないと考えています。
信条としてきたことはいろいろとありますが、まず「一歩を踏み出す」こと。
そして「諦めない」ということが、私の生きる姿勢かもしれません。

山登りでは1歩を踏み出さないと頂上にはいけません。
登山に限らず、地上のいろいろなチャレンジにおいても、「できる」
「できない」と考える前に、まずはやってみることが大切だと思うんです。

私がエベレストを登頂できずに下山して帰ってくると、周りからは
「失敗した」って言われるんです。でもそれはちょっと違います。
成功の反対は失敗ではなく、本当の失敗とは「何もしないこと」です。

私は山登りを通して、挑戦し続けていく先に必ずや登頂や成功があるのだと
確信しています。

だからこそ、諦めないことの大切さを伝えていきたいと思っています。
“終わりなき頂上への挑戦”より
出典元:(プロフェッショナルへの道 致知出版社)

音楽プロデューサーなので山には登りませんが、
「苦しみと闘おうとすればするほど、その苦しみは大きくなっていく」。
「苦しみから逃げても、どこまでも追ってくる」という経験を何度もしています。

これに対してのアンサーなのですが、自分で立てた企画ならどれほど大変でも
あまり苦しみを感じたことがありません。
しかし会社の命令で無理やりに押し付けられた仕事は苦しみが生まれます。
苦手な分野での仕事はアイデアも出ずに逃げたくにも成ります。
私のような自我の強いプロデューサーはあまりこのようなケースは無いのですが、
一般的なプロデューサーは売り上げを上げるための要求に対して拒否権はありません。

その代わり一度大きなヒットが生まれると周りからの期待が大きくなり
担当アーティストの数が増えて休みなく働き続けなければなりません。
家庭も身体も壊れる危険性があります。
少し報酬が良くなっても失うものの方が大きい気がします。
マスコミから注目されて仕事の依頼は増えるのですが、
自分の首を絞めることになります。

プロデューサーのクリエイティブな能力は代役が効きません。
いくら優秀なアシスタントをつけても営業・宣伝まではこなせないからです。
その上にヒットが出なくなるとすぐに「あいつは終わった」と悪いうわさが立ちます。
その為に休みなくヒットを作り続けなければならないのです。

私はプロデューサーとしてオーディションから制作~宣伝~営業まで
全てをこなしてきました。音源だけを作るのではなく、宣伝用の素材も
時代に印象をのこすキャッチコピーも作ってきたのです。

世界中を飛び回りレコーディングと映像制作、時には現地のアーティストと
交渉してレコーディングに参加もしてもらいました。

マスメディアに対して音楽業界の話題作りと価値観を同時に提供して、
その上に海外の最新情報や様々なトレンド情報もプラスしたので、
一時雑誌の掲載率と深夜番組のゲスト獲得の占有率が独占でした。

私は作曲も作詞もするために多少の印税が入って来たのですが、
サラリーマンがそれを受け取ることは当時就業規則上違反でした。
(その後改正されて社員でも能力のある人は受け取ることが可能になった)
いつも派手に立ち回るために、あらゆるところから悪いうわさが飛び交い
業界中でつるし上げにもあいました。

そして91年にハウスプロデューサーの限界を感じて退職する決心をしました。
その後、独立して10年間頑張ってきたのですが大ヒットに恵まれずに
借金を重ねて最終的にはアメリカの会社から突然契約を切られて倒産に
追い込まれてしまいました。

業界の中ではいよいよ稲葉も完全に終わったと噂が流れたのですが、その後に
韓国でオンデマンドの映画会社を立ち上げて韓国ドラマを手掛けました。
日本に韓流ドラマを紹介した最初の人間です。
また同時期に中国に渡り演奏家グループ「女子十二楽坊」を手掛けて
日本に戻りました。あとはご存じのように世界的な大ヒットを連続して
一大ブームを作りました。

何事も挑戦しなければ成功はありません。しかし成功と失敗は表裏一体です。
先ずは諦めずに恐れずに信じた道を歩き続けるのです。
挫折や失望は自分の感情です。失敗してもあきらめなければチャンスは訪れます。
周りからいかなる誹謗中傷があっても逃げずに戦い続けて欲しいのです。

「成功の法則」は何事も無理と思う感情を捨てて自分には出来ると信じることです。
成功の反対は失敗ではなく、本当の失敗とは「何もしないこと」です。
若者たちよ!無限大の可能性を最大限に利用してください。