もったいない




昔はお茶碗の中にお米一粒残しても勿体無いから食べなさいと言われた。
昔の日本人はご飯が食べ終わったら、必ずお茶碗にお茶を注ぎ込み
最後の一粒まで残さずに食べた。
毎回お米を作ってくれたお百姓さんに感謝しなさいとも言われた。

新聞紙も読み終わったら濡らして畳掃除のために部屋中に巻いた。
そうすることで埃が立たず部屋の隅々までの塵を取り除くことが出来た。
学生服も痛んだら母親が夜中に直してくれた。
少々の破れには布が充てられてつぎはぎだらけになっても
新調はしてくれなかった。そしてボロボロになり穴の空いたズボンは
雑巾として使った。その昔には風呂や炊事で使った薪の灰も肥料として
畑に蒔いた。人糞も然りである。
日本人の勿体無いは何も無駄にしないという精神で全てを賄った。
昔から本当のリサイクル・リユース・リデュースは日本にはあった。

家財道具も壊れたら専門の職人が家々を周り直してくれるので
壊れても捨てることは無かった。
陶器も割れたら金継ぎをして使い回しをした。
なんといっても世界に誇れるリサイクルと言えば着物である。
着物は糸を抜けば反物となり新しく作り変えることが出来る。
祖母から母親、母親から娘、娘から孫と親子にわたって
何代も同じ着物の使い回しが出来た。これは凄いことである。

明治時代に英国から来たバジル・ホール・チェンバレン(言語学者)が
「この国には貧乏人がいるが貧困はない。金持ちはえばらず
貧乏人は卑下せず社会の隅々まで平等が行き渡っている」と世界に伝えた。
勿体無い精神が武士にも百姓にも、金持ちにも貧乏人にも、社会の隅々まで
行き渡っていたと言うことである。

ワンガリ・マータイ(元ケニア環境副大臣)
1940年 ケニア生まれ
アメリカ ピッツバーグ大学にて修士号取得後
1971年ケニアナイロビ大学にて博士号取得  
※東アフリカ出身女性では初の博士号ナイロビ大学教授に就任
1977年 非政府組織「グリーンベルト運動」を作り、
アフリカでの植林運動を始める。
マータイさんのグリーンベルト運動の特色は、単に環境保護・
自然保護への取り組みだけではなく、この植林活動を通じて、
ケニアの民主化、アフリカ女性の地位向上、またアフリカの貧しい人々も
社会活動に参加していけるという活動でもありました。

マータイさんの活動は、独裁政権時代には相当な弾圧を受け続け、
実際に何度も権力により逮捕されるという困難に遭っています。
マータイさんの植林活動は、女性を中心に約8万人に広がり、
自然環境保護は元より、アフリカ民主化のシンボルとなっていきました。
2002年 国会議員に立候補したマータイさんには、
圧倒的な支持が集まり、当選を果たしました。
2004年 環境分野初、さらにアフリカ人女性初の
ノーベル賞受賞を果たしました。(ノーベル平和賞)

2005年 来日し、小泉純一郎首相(当時)と会談。
日本語の「もったいない」という言葉に大変な感銘を受け、
世界各地で環境保護の世界共通語としての「Mottainai」を広め、
また訴えます。
2011年9月 ケニアの首都ナイロビで死去(71歳) 
ケニア政府より国葬として 生前の功績を讃えられる。
環境分野初のノーベル賞受賞者 ワンガリ・マータイさんは、
世界共通語としての「もったいない」を世界に広めています。

“もったいない”には日本の伝統的精神文化が込められています。

「もったいない」という考え方は、経済的・数値的な捉え方では
理解できません。いわゆる収支や損得を考えた「ケチ」や
「エコノミー(経済的)」とは異質なのです。
例えば、昔から食べ物を粗末にすることや、
食べ物を残すことに「もったいない」はよく使われました。
これは、その食べ物を作った農家の方々、また家庭に届くまでに
関わってきた人々、そして料理を行った人への感謝の「気持ち」が
込められています。

そして何より「大地や太陽・水」など「自然の恵み」への
感謝の気持ちがあるのです。

“もったいない”という日本語の根底には“ありがたい”という
感謝の気持ちがあるのです。
私が初めて「もったいない」という日本語とその意味を知ったときに、
国際社会への重要な意味が込められていると感じました。
私はまず、「もったいない」という言葉のルーツに感銘を受けました。
長年、私が取り組んできた環境問題への活動の中、合い言葉としてきた 
「3R(リサイクル・リユース・リデュース)」ということを、
たった一言で見事に言い表しているからです。

私は30年近く前、ケニアで7本の木を植えました。
これが「グリーンベルト運動」のきっかけとなりました。
その後、多くの女性(一部男性)がケニアの国じゅうに
3000万本以上の植林を行いました。
そしてこの経験をアフリカの他の国とも共有しています。
植林を通して、木は多くの人々に燃料や食料を与えるとともに、
大地の浸食から守り、生活費にもなりました。

この活動を通じ、私たちが学んだ大切なことは、
市民が力を持つ必要です。
私たちや子供たちの希望する生活を実現させるために、
環境保護活動と復旧活動に参加してください。
他人が私たちのためにしてくれることを待っていてはなりません。
出来ることから始めるのです。

皆様も頭の中に理想を描いてください。その理想が未来の子供達に
大きなプレゼントを残すことになります。

私達は地球の資源を沢山いただいているのに、お金を出して購入したら
自分の物、だから容易に捨てることにためらわないのです。
あらゆる資源は無限ではなく有限なのです。
その為に少ない量で充分に足りることを知りましょう。「小欲知足」
「もったいない」は世界共通語です。