扇(おおぎ)を開く




我々の人生は扇子(せんす)の風のようなものです。
好きの感情が半分(右)で嫌いの感情が半分(左)です。
いつも好きだけで扇子を使う人は右側の優しい風を求める人です。
そして嫌いだけで扇子を使う人は左側の激しい風を求める人です。

扇(おおぎ)の風を物事が成就して成功した時にばかりを求めるから、
本来は優しい風も力無くストレスの原因になってしまうのです。
そこに嫌いな物事も取り入れて反発や怒りの強い風を取り込むのです。
ちょうどバランスの良い風の具合になります。

快適とは緩急混ざったものがちょうど良い時に
感じる状態を示しています。
好きも嫌いもちょうどいいバランスだと
強い調和が生まれるのです。

私はプロジェクトを作る際に数人の反発する仲間を入れます。
気の置けない仲間ばかりだと同じ価値観なので楽しいのですが、
進行上で疑問が生まれない危険な状態にもなります。

差し詰めアメリカなら学生時代にディベート教育で
反発し合うことを教えられるので抵抗がないかも知れません。
日本人はこれが苦手です。言い負かすことが出来ません。
反論を敵対心と捉えて沈黙してしまいます。

アメリカの様に多国籍で構成されている社会では、
それぞれの国の宗教や文化の違いから
多くの誤解が生まれます。
その為に普段から互いを尊重しながら警戒もします。

陽気なアメリカ人!いつも気さくに「Hello」と話しかけてくる。
Helloは「俺は仲間だから危害を加えないよ」という信号です。
そして「Happy」はバランスの良い状態が作られた時に発せられる言葉です。
リズムやビートが重なり合っているときにHappyと言います。
仲間の信頼やきずなが生まれた時にもHappyを連呼します。

「逆もまた真なり」(ぎゃくもまたしんなり)と読みます。
扇(おおぎ)の右・左の風はどちらも心地よいものです。

これはAならばBという論理が成り立つ時に
逆にBならばAも成り立つ場合を指します。

例えば、新商品のコーヒーメーカーに
可愛いティーカップなどのオマケが付いていたとします。
そのカップが大事な人にとっては・・・
商品であるコーヒーメーカーのほうがむしろオマケ扱いです。

逆にかわいいカップに関心のない人にとっては・・・
大事なのはコーヒーメーカーであってカップがオマケ扱いになります。

このような状態を「逆もまた真なり」と言います。
ちなみに「真なり」の辞書的な意味ですが・・・
論理学で、ある命題が事実と一致すること。
また、そのさま。偽(ぎ)。「逆もまた―なり」です。

日本語に「敵も味方なり」
「昨日の友は、今日は敵」というのがあります。
興味や価値観の対象をどこにおくかで判断が変わってきます。

私は好奇心が旺盛で書籍の文章から
過去で起こった日常の出来事の方に関心があります。
その場所で何が起こっていたのか、
また、その場所へ行けば何かが分かるのだろうか?
表と裏、私は裏で起こった出来事に関心を寄せます。

真実と嘘、現実と仮想、正義と悪、王政と民衆、
どちらかに軸足を置くと見方と答えが変化する。「逆もまた真なり」

イエスキリストが死刑の判決を受け、十字架を背負ってゴルゴダの丘に
向かって歩いて行ったというヴィア・ドロローサ(悲しみの道)は、
城壁に囲まれたエルサレム旧市街地にあります。
(国際法上ではパレスチナ分類されイスラエルによる実行支配下にある)
その道筋では、キリストの最後の足取りが辿(たど)れるので、
興味のある人は順を追って歩いてみるのがいいと思います。

キリストゆかりの場所は留(英語ではSTATION)と呼ばれ、
キリストが死刑判決を受けた場所が第1留、
十字架を背負わされた場所が第2留、
十字架の重さに耐え切れず最初につまづいた場所が第3留…と続き、
最後に墓に納められた場所が第14留となっています。
最初から順番に見ていくと、全体の距離は1kmほど。

私はイエスキリストの存在も彼を讃える話も信じていません。
若い時に興味を持ったのだが行く機会に恵まれなかった。
それどころか、今はパレスチナとイスラエルの戦火で一生行けない。

これが事実であろうと物語であろうと、
はたして自分の扇はどちらを望むのだろうか?

興味とは次の好奇心が見つかった時に起こります。
私は新しい情報が入ると現地に飛び確認する癖があります。
地方の放送局やライブハウスのオーナーから凄い新人がいるよと
聞けば、翌日には現地に向かいます。海外でも同じです。
中国の古典楽器演奏家「女子十二楽坊」の時にも
紹介された翌週には北京に飛んでいました。

好きも嫌いも確かめなければならない悪い癖だと思います。
プロデューサーとしてヒットを作り出すためには
「探求心」と「行動力」が無ければチャンスを
逃してしまうことになります。

果たして皆様はどちらの風を望むのでしょうか?
敢えて強い北風に立ち向かうのも楽しいですよ。
人生の扇(おおぎ)は大きく開いてお使いください。