アイスブレーク(遊び)




会議ではファシリテーターという進行役が存在します。
その日の議題をスムーズに進めて結論へと導く役目です。
限られた時間で緊張している出席者から満遍なく
意見を引き出すというのは大変難しい役割です。

ファシリテーターの技術の中でアイスブレークというのがあります。
気持ちをほぐすのと出席者のコミュニケーションを結ぶ為に行われるものです。
一言で言うと「遊び」です。ボールや新聞紙やクイズを出題して
場を和やかにするゲームです。
重要な会議で貴重な時間を割いてこんなことやるのかと怒る役員もいます。

海外の人から日本人は真面目で「遊び」を知らない人種だと言われることが
多いのです。そうです真面目な会議だから真面目な顔をして真面目な討論を
出さなければならないと教育されるからです。
事前に資料に目を通して自分なりの意見を纏めていれば結論は早いのです。
最近ではオンライン参加も許されているので会議の時間は短縮されています。

人間のアイデアは遊びから生まれることを知っていますか。
職人の技術の発達はほとんどが遊びの要素を加えて完成させるのです。
見た目の美しさや便利に使いやすいは職人の遊び心から生まれてきます。

「人は遊びの中から学ぶとよく言いますが、この集まってきた人とあそぶ、という
なんでもないことが、実は人として大切な力を育んでいるのではないでしょうか?」

ご存じですか?
他国籍の人と多言語の交流をするヒッポファミリーというのがあります。
私はまだ参加したことがありませんがとても興味のある交流会です。

ヒッポの集まる場は多言語の公園です。公園には、その日どんな人が来るかは
決まっていません。いつも、そこにいる人と一番楽しくあそべるには
どうしたらいいかな?と無意識に考えています。
小さい子がいたり、ひざが悪いおばさんがいたり(笑)、元気いっぱいの
悪ガキがいたりする中で、どのくらい走れるかな?ルールはわかるかな?
など考えながら、今日は人数が多いからこうしよう、
初めての人がいるから簡単なルールにしよう、
など毎回毎回の場がいつも一期一会、この日この時このメンバーで
この状態にしかない中で、みんなで創造する時間なのです。

あそびとは本来そういうものです。昔からずっと、人間はそうやって
あそびの中からいろんな力を育ててきたのではないでしょうか。
学校で、先生にルールを教えられてサッカーをしたり、ドッチボールをしたりしても、
そこにじぶんたちで状況に合わせてルールを作り出す創造性は発揮されません。
だれかの作ったルールを覚えて合わせるだけです。

ヒッポの人はすごいなーと思ってはいましたが、ヒッポの人が特別な人で
あるはずがありません。やっぱりその秘密は環境だったんです。
環境さえあれば、だれでも本来もっている力をのばすことができるんです。

以前大学で、ごきぶりじゃんけんという、ごきぶりから、ゴリラ、人間、天使と、
じゃんけんに勝ったら進化していくだけのたわいもないあそびをしたら、
「これはコミュニケーション力や自己アピール力を育てられますね!すばらしい!!」
と先生からほめられて、そんなこと考えたこともなかった!と驚いたことがあります。

たしかに、学生さんたちも最初は戸惑っている様子でしたし、
今はそんな風にあそぶ経験も少ないのでしょうね。
あたりまえのなんでもないことが、なくなってみると
どんなに大事だったかわかるんですね。
今は、知らない人や年上の人と話すのが苦手な若者も多いです。
ただ、環境があるかどうかだけなんですよね~。
いろんな人と一緒にあそべる環境、創っていきたいですね。

如何でしたか素晴らしい発想ですよね。
遊びからコミュニケーション力を養い、自己アピール力も自然に身に着くのです。
またヒッポファミリーとは違いますが日本には昔から伝承遊びがありました。

「伝承遊びで学べること」

伝承遊びは昔から代々受け継がれてきた遊びです。
それほどの魅力のある遊びともいえます。伝承遊びの良さや、
伝承遊びから学べることを確認し、保育に活かせるようにしましょう。
伝承遊びで学べることの一例は、以下の通りです。

「コミュニケーション能力を育む」

伝承遊びの多くは、友達と協力する必要があったり大人数でなければ
楽しめなかったりする遊びが多くなっています。
伝承遊びを通して友達と積極的に関わることで、コミュニケーション能力が
育まれるでしょう。コミュニケーション能力は、生きていくうえで必要不可欠な
ものです。遊びの中で自然と身に着けられるのは、大きなメリットとなります。

「日本の良さに気づける」

昔の日本人が代々伝えてきた伝統的な遊びが伝承遊びです。
古き良き日本の文化や伝統を感じることができます。
欧米文化が流入し昔の日本を知らない現代の子どもたちにも、先人たちの知恵や
心が伝えられるので、古き良き日本を感じる良い機会となるでしょう。

「考える力が身に着く」

伝承遊びは難しいものが多く、何度も遊んでルールを理解したり
どうしたらできるようになるのかを自分なりに考察したりする必要があります。
「どうすればよいか」「どうしてこうなるのだろう」などと考えることで、
思考力や判断力が身につきます。
また、けん玉や駒回しなどは簡単に攻略できないため、
何日もかけて練習することも珍しくありません。
忍耐力や継続する力も育まれるでしょう。

今一度大人の我々も子供達と一緒に伝承遊びを行うことは、
新たな発見につながることになると思います。

遊びから学ぶことは本当に多いのです。
仕事でもコミュニケーションでももっと多くの遊びを取り入れましょう。
日本人は昔から遊びの天才なのです。