辿る道

 

自ら選んだ道を探し出し、ただひたすらその道を歩き続ければ必ず目的地には到着をする。
しかし、その道は本当に自分が求めている道だろうか。

間違って砂漠で森を探している事になっていないだろうか。
山あいで海を探している事になっていないだろうか。
大空に城を築く事になっていないのだろうか。

辿る道を間違えれば目的の場所は永遠に見つからないのである。
冷静に判断をして、正しい辿る道を探さなければならないのである。
注意せず、あれやこれや気を多くしていると、辿る道をすべて見失ってしまうのである。

気が多いとは、小さな庭に沢山の果実の苗木を植える様なものである。

それぞれの苗木に適した環境も生育方法も実りの時期も知らないで、
ただ闇雲に植えただけでは苗木は枯れてしまうのである。

先ずは庭の土壌の質を知り、肥料を与え、害虫を殺して、苗木の管理をしなければ、
豊かな収穫には至らないのである。

たとえ気が多すぎて色々な果実の苗木を植えたとしても
少ない大地の滋養を奪い合い育たなくなるのである。

しかし選んだ場所が恵まれない環境で有ったとしても、
その道が果実に取って望む道で有れば本気で辿るしかない。
その為には、生育の正しい知識と正しい努力に基づいて行わなければならないのである。

そしてその努力には必ず光の活路が見えて来る筈である。
辿る道は「楽」をして通り過ぎる為の道では無い、

自分の夢を叶える為の「必要」な道であることが大切である。

ワインの専門用語に「テロワール」という言葉がある。

ワインの味や香りに深い影響を与える、その土地に由来するワインの特長をテロワールと呼ぶ。
このテロワールでは肥沃な土地より、
むしろ痩せた土地に育ったブドウの方が極上のワインになる事が多いと書かれている。

乏しい養分を求めてブドウの根は地中深くまで張り巡らされる。
その結果としてブドウは土壌中の様々な微量の元素を取り込み、
味や香りがより複雑で奥行きの有るものになるという分けである。

果実の苗木は大地を選ぶ事は出来ない。しかし持ち主は大地を選ぶ事が出来るのである。
環境に恵まれるという事は決して良好な場所だけにあるものでは無く、
その望むものに適した場所にあるという事である。

芳醇なワインを作るには大地と持ち主の知識に裏付けされることが多いのかもしれない。

自分に適した「辿る道」を探すのには大変な時間と苦労が伴います。
しかし道を探すのも選ぶのも自分で見つけなければなりません。

時間が掛ったとしても諦めずに学びながら、地道な努力の中でしか見つける事は出来ないのです。
理想を夢とせず現実を夢として歩み続けるしかないのです。

貴方が選ぶ辿る道が最悪な場所でも、努力次第では最高の場所にする事も出来るのです。