言葉のカタログ




「審美眼」

表面的な美しさは誰でも分かるのですが、果たしてそれが本当の美しさでしょうか?
内面の美しさを知らなければ美しさの追求にはなりません。
製作者の意図するところを理解して時代背景や技術研鑽の痕跡まで追求して
美を理解すると楽しみ方が変わります。

私が納得しているからこれで良いのだと主張する人もいますが、
個人の好き嫌いで美を評価することはありません。
本物を求めずにイミテーションでもウィキペディアの情報でいいやという人でも、
美術館や展覧会などで本物に触れることで「審美眼」が鍛えられます。

「審美眼」は「美を見極める眼力」を表す言葉で、芸術作品をはじめとする
美しいもの、価値のあるものの真価を、評価する「眼識」を意味します。
世の中には表面上で綺麗に見えても、中身はあまり価値のないものが多く存在します。
目先の美しさにとらわれず、内側に隠れた本物の美しさ、それらを作り上げた背景など、

独特な見識と感性、こだわりを持つのが特徴で、それに触れることが大切です。
「審美眼」がある人は、デザイナーや鑑定士など、本物の美と真価を正しく評価する仕事が向いています。

ぜひ「審美眼」という才能と職業をつなげてみませんか?

「挫折と落胆」

挫折は「特定の目的を達成するために行ってきた行動そのものが
無駄になること、心折れて途中で投げ出すこと」。
今までの頑張りを無駄にしてしまうような心理状態になっているケースで
使います。挫折を一度も経験していない人の方が少ないと言えるでしょう。
落胆は「落ちぶれること、惨めになること」惨めな感覚が芽生えてくるという
意味では、挫折に近いような状況があるでしょう。
挫折は本来諦めたくないことに関して、諦めざるを得ない状況になるため、
惨めな雰囲気がどうしても存在するはずですから、そこが落魄(らくはく)と
共通しています。

「忍と敏」

1 がまんする。じっとこらえる。「忍苦・忍従・忍耐/隠忍・堪忍・堅忍」
2 むごいことを平気でする。「残忍」
1 頭の働きがすばやい。さとい。「敏活・敏感/鋭敏・過敏・不敏・明敏」
2 行動・動作がすばやい。「敏捷(びんしょう)・敏速・敏腕/機敏・俊敏」

あらゆる試練に耐えることと敏速に行動に移すことを、
常に持たなければなりません。
夏の暑さに耐えながら飛んでくる虫を待つアメンボと同じです。
ただじっと水面に漂いながらその機会を待つのです。
いわゆる「感即動」咄嗟に感じて即動くということです。
間違っても落ち着きのない人間になってはいけません。
ソワソワするような腰骨のない生き方はしてはいけません。

「面倒臭い」

「煩わしい」とほとんど同意で使われ、面倒でいやだと思う気持ち、
避けたいと思う気持ちが含まれている。非常に口語的な語です。
熟練の職人さん達の作業を見ていると、同じ緻密な動作をなん度も繰り返して
商品に作り上げていく。一般の人から見れば面倒臭い作業であるが、
緻密さと遊びを融合させる技が職人の表現なのです。

近年はこのような作業もロボットに任せてオートメーション化することが
当たり前になっています。大量生産にすることで安価になるメリットがあるから
多くの企業が取り入れています。

酒造りで最高責任者を「杜氏」(とうじ)と呼びます。この杜氏のさじ加減一つで
お酒の味が変わるのです。長年の勘と緻密な作業で最高の日本酒を作り出します。
最近ではバイオテクノロジーを学んだ人が職人として雇われることもあるという事です。
杜氏のもつ知識をコンピューターに入れて作り出した日本酒が世界中で売れています。
これはお酒という商品であって本物のお酒ではありません。

私は海外でも日本でもこのお酒を勧められて飲んだのですが翌日必ず頭痛がしました。
私の身体と相性の悪いことが分かりました。そのお酒は「獺祭」です。

「道元禅師」
前段に「香巌撃竹」、後段に「霊雲桃花」を配した絶妙な章だ。
百丈の弟子の香巌は師が亡くなったので兄弟子の潙山を訪ねるのだが、そこで、
「お前が学んできたものはここではいらない。父母未生已前に当たって
何かを言ってみよ」と言われて、愕然とする。

何も答えられないので、何かヒントがほしいと頼んだが、兄弟子は
「教えることを惜しみはしないが、そうすればお前はいつか私や自分を恨むだろう」
と突っぱねた。そのまま悄然として庵を結んで竹を植えて暮らしていたところ、
ある日、掃除をしているうちに小石が竹に当たって激しい音をたてた。
ハッとして香巌は水浴して禅院に向かって祈った。
これが禅林に有名な香巌の撃竹である。「霊雲桃花」では、その竹が花になる。
香巌が「悟り」を得た瞬間である。

「有言実現」
アメリカではFake it till you make it !という諺があります。
「なるまで偽れ!」です。
私がCBSSONYへ入社した動機は「日本一のプロデューサー」になることでした。
まさに「なれるまで偽れ!」でした。
まだ仕事を覚えていないころから「私は日本一のプロデューサー」ですと偽った。
洞(ほら)も百回言い続ければ本当になるという事です。

「運気をあげる4つのポイント」岩手花巻高校硬式野球部佐々木洋監督
① 言葉のマジック。「5点差じゃない2点差なんだぞ」と表現を変えて檄を飛ばす。
② 一緒にいる人「親は選べませんが、友人は選べますよね」友の大切さを教える。
③ 表情、態度、姿勢、身だしなみ「負けているときに笑顔でファイティングポーズ」
これが一番重要です。強くなるチームはどんな時にでも笑顔です。
④ 感謝と謙虚「花巻東が使ったあとはベッドメイクがいらないくらい綺麗にする」
菊池雄星選手はごみが落ちていると「神様が自分を試している」と思うと話をして
くれました。そうやって、いつも神様が見ていると思っているのです。
我々が使ったロッカールームはいつも入った時以上に綺麗にして出て行きます。
大谷翔平は菊池雄星の一年後輩です。共に佐々木監督の教えを学びました。

「成り切る」
一流のカメラマンになるには成り切ることを教えます。
憧れのカメラマンに成り切って過ごせば一流になるのです。
我々は真似をすることはあっても成り切ることはしません。
その中途半端な態度が一流になれないのです。

禅寺ではトイレを掃除する時にトイレに成り切れと教えます。
うわべだけの掃除では本当にきれいにはならない。トイレに成り切るのです。
禅宗ではただ掃除をするという作業ではなく、ご不浄をきれいにすることは、
心をきれいにすることにつながる教えです。誰もが嫌がる仕事を率先して行うこと
が重要です。

また、スランプの高校球児に打てないのはバットに成りきってっていないからだと
アドバイスをするそうです。打とうとする気持ちが、打てなかったら
どうしようという気持ちになり体が思うように動かなくなる。
腕ではなくバットに成り切って打てと教えます。

私も新人アーティストがステージに上がる前に、今日はおまえ自身ではなく
「スターに成り切れ」と檄を飛ばします。
そして大切なことは「音程は外しても客の心は外すな」です。
お前はただの失敗と思うが客は失望に変わり記憶に残るのだ。

成り切ることにより難攻不落な高い壁を乗り越える力を得るのです。
あなたも憧れの何かに成り切ってください。

あなた自身を離れるのです。