音は心の中で音楽になる




イヤホンを通して音楽が聞こえる。ギターの音、ドラムの音、サックスの音、ピアノの音、

でもモバイルホンから聴く音は本物の楽器の音ではない。

送信しやすいように作られた圧縮された加工の音なのです。
いわゆる切り身の魚のように原型をとどめていないのです。
それでも聴くのは現実の世界から一歩でも逃げ出したいからである。
現状の意識を切り替えるには音楽が一番だからです。

私はそれよりも雨の音を聞きながら子供達の声、走り去る車の音、お店の中から
聞こえて来る笑い声、電車の中の人々の声を聴いている方が癒されます。
その時の状況で聞こえて来る音は生きている音の証です。
山に行けば小川のせせらぎ、鳥の声、木々の揺れる音、小動物の鳴き声、滝の音、
全ての音が音楽に聞こえるのです。

モバイルを利用した音楽を全面的に否定しているのではなく、
脳内の掃除をするために時折自然の音をきくことが大切だと伝えているのです。

そう音は心の中で音楽になっているのです。
本来人間の脳は視覚と音の情報により反応することが多いのです。
脳内ホルモンの活性化のためにも加工された画面や音ばかりを見たり、聞くのではなく、
自然の景色や自然の音を脳内にたくさん取り入れてください。

谷口高士の同名のタイトル「音は心の中で音楽になる」の書き出しの一説に
このようなことが書かれています。

心理学の本を探せば音楽心理学のことがわかるかというと、まずそんな項目は
存在しない。それなのに、世間では「音楽心理学」とか「音楽療法」などという
言葉だけが、どこからともなく現われて目の前にちらついている。
これでは、「音楽心理学って何?」とたずねたくなるのも無理はない。
特に最近は、「音楽」と「癒(いや)し」がセットになって頻繁にマスコミに
登場している。

いったい「癒し」とは何か、音楽の何がどのように人間に効果をもたらすのか
ということを曖昧にしたまま、音楽療法のなにやら身近でとっつきやすそうな
イメージだけが広まっている。
楽器を演奏できる人が、自分にも「音楽療法とやら」ができるのではないかと
勘違いしてしまう。そのような、音楽を知っているが音楽心理学に対しては
疑問や期待(あるいは幻想)を抱えている人のために、本書の企画は生まれた。
もちろん、これから音楽心理学研究を始めようという人にも役立つものである。

難解で退屈な本であるが音楽心理学を学ぶ人達には読んで参考にすることは出来る。
興味のある人は読んでみてください。

また、音楽は脳や心にどのような影響を与えるかにこのような文章があります。

「文字文化を持たない社会はあるが、音楽文化を持たない社会はない」といわれるほど、

人にとって音楽は身近なものである。

音楽を聴くことで自然と気分が向上したり、リラックスしたりするという経験は、

おそらく多くの人にあるだろう。
その経験からも分かるように、音楽は人の心と身体にさまざまな影響を与える。

音楽には特定の感情を誘発させる効果や、“覚醒水準を調整する効果”があることが
多くの実験によって確かめられている。覚醒水準を調整する効果とは、脳や神経の
覚醒水準が高いときはそれを抑え、低いときは高めるという働きである。
すなわち、過度の興奮状態であればそれを抑え、過度の落ち込み状態であれば
気分を高める効果を持つ。

音楽は音の集合体です。澄んだ音であれば澄んだ音楽になります。
自分の大好きな音が集まればそれだけでも音楽になり脳にも心にも影響するのです。

子供の頃から大好きな人の話す声は音楽のように聞こえていた筈です。
そして大好きな人の表情は素敵な映画を見ている様だった筈です。
大好きな人と経験を共にすれば思い出が色あせても記憶にずっと残るものです。

日常の風景が全て音と繋がるのです。

「ドライフラワー」
作詞:優里 作曲:優里

多分、私じゃなくていいね
余裕のない二人だったし
気付けば喧嘩ばっかりしてさ
ごめんね

ずっと話そうと思ってた
きっと私たち合わないね
二人きりしかいない部屋でさ
貴方ばかり話していたよね

もしいつか何処かで会えたら
今日の事を笑ってくれるかな
理由もちゃんと話せないけれど
貴方が眠った後に泣くのは嫌

声も顔も不器用なとこも
全部全部嫌いじゃないの
ドライフラワーみたい
君との日々も
きっときっときっときっと
色褪せる

この様な歌に出会うと嬉しくなります。
歌から誘い出される世界がまるでショートストーリーのようであるからです。
ヒットになったのは歌詞に共感する人が大勢いたからです。
歌う声も語りかけるようにしてサビで心の思いを一気に歌い上げる。
ギターとベース・ドラム・ピアノのみでとてもシンプルなカラオケです。
せつなく「きっときっときっと、色褪せる」と歌いあげる。

派手なカラオケで誤魔化すのではなく歌唱力で勝負する音楽はとても癒されます。
喧嘩の声、沈黙の部屋、啜り泣く声、全てが音楽に聞こえるのです。

人は無意識、人間は意識といいます。その状態その場面で感情を露わにするのが人で、
メールで済まし、本音を言わずに嘘をつき、虚勢を張るのが人間です。
大人だから感情を露わにするのは情けないとか、男女関係なくみっともないとか体裁を
考えるのではなく、感じた音に素直に反応して、人として生きる方が素晴らしいと
思います。

全ての音は心で音楽になるのです。
出来れば、好きな音、素晴らしい音を取り入れてほしい。
いつまでも忘れないで欲しい「音は心の中で音楽になる」ということを。

自然のままの音を騒音として記憶しないでください。