「間」」Improve your sense




文字や言葉にできない間(ま)という現象を受け止めましょう。

間の感覚を鍛えてください。
間は日本人に与えられた能力です。
日本は文化芸能全般に「間」の力を配分してきたのです。

音と音の間(あいだ)に空間(時間)があることを知るべきです。
言葉と言葉の間に聞こえない声を聞くべきです。
雨の音にも風の音にも雪の音にも間があるのです。
浮世絵にも日本料理にも歌舞伎にもお能にも間があります。

この間(ま)の発見をする為に頭の中に空白なスペースを作るのです。
あなたの頭の中に沢山の不要な情報が詰め込まれていませんか?
残すべき情報と捨てるべき情報を振り分けるのです。
記憶の断捨離をするのです。

知識で間(ま)を見るのではなく感性で見なければ間(ま)を見ることが出来ません。
隙間を開けるとは、物と物との間のわずかに空いている所を広げることを言います。
視覚の物を完全なる実態と捉えるのではなく、物と心に隙間を開けてみることが大切です。

一番早い間(ま)の習得方法は風光明媚な自然界へ飛び込むことです。
目を閉じたまま大気に触れ、自然界の音を聞き、宇宙に抱かれるのです。
川の流れや、鳥の囀りや、季節の草花にも動的な間があります。
その中で自分を動物に近い状態において、間から来るメッセージを聞き、心を整えるのです。

この方法は脳内のセロトニンを高める効果(音域によって発生)があるので、
最近では音楽療法としても取り入れられています。

ジャズのライブもインプロビゼーション(即興音楽)で間の演奏をします。
聴衆はこの絶妙な間の中で自分の感情と反応して興奮するのです。
演奏者は与えられた小節の中で自由に音を作り上げていきます。
まるで言葉を楽器に変換して語りかけるようにまた叫ぶように演奏します。
お気に入りのアーティストの演奏が予想通りの展開だと立ち上がって拍手を送ります。

また華道の展示会へ行きバランスの良い作品を見つめてください。
花を見て葉を見て色合いを見てください。絶妙な間があることが分かると思います。
そして生け花では「数少なきは心深し」花を入れ過ぎないことが重要です。
花を入れ過ぎて間を詰め込まないということです。

「間に合った」や「間が悪い」は時間の観念です。
相撲の「はっけよい」は発気(はっき)良いか、間の準備が出来たかという意味です。
四股を踏んで間を取りながら息を吐く用意が出来ましたかという意味です。
相撲は一瞬で勝敗が決まります。呼吸1つで気合が変わるのです。

相撲は、地の邪気を祓い、清める四股を踏む行為によって、神事と関ってきたのです。
そして武士は肉体を鍛えるために積極的に取り入れた競技です。

武道の「間」は生きるか死ぬかの間です。間が悪いと確実にどちらかは死にます。
踏み込むタイミングや引き寄せるタイミングを脳ではなくて身体で覚えるのです。
刀の刃先を見るのではなく相手の身体全体を見て動作の予測をするのです。

頭で考えると一瞬の間が遅れます。心眼で捉えると次の展開の流れが見えると言います。
そして間は「魔と真」と解釈するのです。魔力・邪魔のまや真剣・正真のまとして使われます。

基本的に武術は攻撃ではなくて守りなのです。

人間関係にも時節はあります。相手の気持ちを無視して一方的にことを推し進めると、
お互いに気まずい思いをします。
言葉や顔の表情で間(ま)を読むことが出来れば時節に叶うことが出来ます。
お気を付けください。

「間」Improve your sense
あなたの感覚を向上させるためにも「間」を意識してください。