心の本質
「心」に対して何を持って本質と言うかは個人的主観によるところが多い。
それは「心」を断定する記述が少ないからである
唯一、哲学者や作家が推測で述べている文章しかないからである。
私の知る所では「知・情・意」を提唱したギリシャの哲学者カントが
最も大好きな「心」の表現者である。
夏目漱石が書いた「草枕」の冒頭にこのような文章がある。
「知に働けば角が立つ、情に掉させば流される、意地を通せば窮屈だ」
学生時代に何故かこの文章を暗記して口ずさんでいた。
そして調べていくうちにカントにたどり着いた。
カントの言葉によって心の在り方を知った気がしていた。
理不尽な世の中に対抗するにはどうしたら良いか悩んでいた時に、
何事にも偏らずに「バランスの良い人生を過ごせよ」と言われた気がしたのです。
「知・情・意」
哲学者カントは、人間の精神のはたらきとして「知・情・意」の3つを
考えました。彼は「私は何を知りうるか|私は何を望んでよいか|
私は何をなすべきか」との有名な問いを示し、
人間の知性・感情・意志を吟味検討しました。
知・情・意を現代的に概括すると次のようになるでしょうか。
〈知〉
知性に関わる心のはたらき
賢さ、分析、理論
真や利の価値を目指す
アタマ/手/足で行う
科学、技術・エンジニアリングの世界
〈情〉
感情に関わる心のはたらき
優しさ、感性、美意識
美や快の価値を目指す
胸で感じる
芸術、デザインの世界
〈意〉
意志に関わる心のはたらき
正しさ、洞察、内省、観
善の価値を目指す
肚で観ずる
倫理、哲学、宗教の世界
ギリシャ時代の哲学者が残した文章を現代語訳として書かれている。
これらの詳しい記述は誰が書いたか定かではないが、
日本語訳としては十分理解が出来る。
私が「心」で感じるのは心による精神的安寧である。
物理的状況から起こる悩みは身体的であれば医療で解決できる。
精神的問題であれば心理学に頼る前に音楽や絵画や書籍でも解決できる。
時には旅に出て素晴らしい風景で心が洗われるときもある。
学生時代に少しだけ茶道と華道に触れた機会があった。
老若男女上下に隔たりなく茶の前とお華の席では誰しもが客人として扱われた。
静寂に包まれた庭、簡素な佇まいの室内、厳粛な所作、床の間におかれた花、
壁にかかる掛け軸、日常と違う異空間でひと時を過ごす。
終われば、別室に移り茶懐石を頂く。お香の炊かれた部屋でお庭を見ながら
季節に合わせた精進料理をいただく。
会話も自然と心にまつわる日本文化の神髄について話し合うことが多い。
元々茶は禅宗のお寺で医療用としてふるまわれていた。
だから禅とお茶は切っても切れない関係である。
「茶道における禅語の役割と魅力」
禅語とは何か?茶道における意味
禅語とは、禅宗の教えを短い言葉で表したものです。
茶道では、禅の精神を取り入れ、心の静けさや調和を大切にします。
禅語は、茶室という特別な空間において、亭主の思いや季節感を表現し、
お茶をいただく人々の心を豊かにする役割を担っています。
茶席における禅語の重要性(心を整える、季節を感じる)
茶席では、掛け軸に書かれた禅語を鑑賞することで、日常の喧騒から離れ、
心を落ち着かせることができます。また、禅語は季節を表すものも多く、
その言葉を通して季節の移ろいを感じ、自然との一体感を味わうことができます。
例えば、春には「薫風(くんぷう)」、秋には「明月(めいげつ)」
といった禅語が選ばれることが多いです。
禅語がもたらす心の静けさ
禅語は、深い意味を持つ言葉であるため、一見難解に感じるかもしれません。
しかし、その言葉を理解しようとすることで、自然と心が静まり、内なる平和を
見つけることができます。
また、禅語は、私たちの日常にも通じる教えが含まれており、
日々の生活の中で迷った時、そっと背中を押してくれるような力を持っています。
音楽プロデューサーとして沢山の楽曲との出会いがあり、
楽曲としての優劣や時勢に合うか会わないかを選び制作をする職業です。
一つの作品をアーティストと作る際に、
それぞれの曲に対しての想いを話し合いながらアルバムとして完成させます。
ポイントは感情の発露です。喜怒哀楽に伴う人間の心理です。
言葉(歌詞)にメロディーが、ビートが、歌声が合うか、また感情の起伏を
引き出す楽器が何かも世界中の楽器から選び出すこともありました。
私は音楽プロデューサーとしてジャンルの違うアーティストを沢山抱えていました。
職業プロデューサーですからヒットを出し続けなければなりません。
年間通じてたくさんのアルバムを作り、発表していたのですが、
新作は制作が終わると大切な本を本棚に収めるようにしまい込みました。
そして次の作品に取り掛かる前に心の整理リセットが必要でした。
海外へ出向いて新作のミュージカルを観たり、風光明媚な場所を旅したり、
時には危険なエリアのクラブへ忍び込んだりもしました。
「心」とは、常に関心事に迷いを取り除く起爆剤だと思っています。
いつも自分自身の心に従って行動を起こしていた気がします。
「心」は勝手に良き方向へ動きません
「心」を育てなければ満足感は得られません
「心」は人格です
「心」は命です