神様がくれた耳
音楽関係に従事している者は全て耳がよいとは限りません。
音の聞き分けで重要な絶対音階を持っている人はほとんどいません。
しかしアーティストは最低限の音を見極める耳は持っています。
プロデューサーの耳は聞こえていない音を探り当てて磨きをかけます。
しかし音楽がこの世の中に何故必要かとまで考えた人は少ないと思います。
音楽に関心を寄せたキッカケは子供の頃からの習い事で始めた人、
単に趣味として好きだったから、音楽の華やかな世界に興味を持ったから
など人それぞれです。
クラッシックの偉大な作曲家の経歴を調べていくうちに
あることが分かりました。何故、あの時代にあれほど数多くの名曲が生まれたのか。
宮廷や貴族から莫台な資金が投じられたとしても彼らの才能は天性のものです。
17世紀~18世紀にバロック時代宗教音楽、鍵盤音楽、室内楽曲につぎつぎにと
生まれた作曲家たち。パトロンを満足させるために、また大衆を楽しませるために
作られた楽曲は、更に作曲家たちの持病を癒すためのものでもあったのです。
耳の聞こえなかったベートーベン、サバン症候群のモーツァルト、
躁鬱病のシューマン、鼻の中のポリープに悩まされたハイドンと
それぞれの病を抱えていました。当時はまだ治療方法がない時代です。
自分でその苦しみから逃れるために自身で作曲した音で
音楽療法を行っていたのだと思われます。
有名なのはモーツアルト「二台のピアノのためのソナタ二長調K448」です。
彼はてんかんの発作が起こるとこの曲を弾くことで癒されたと言われています。
現代医療ではてんかんの病にはこの楽曲を使うのが当たり前になっています。
偉大なる名曲の全てがそういう事情とは一概に言えませんが、私なりの推論です。
絵画の世界では耳を切り落としたゴッホ、鬱病に苦しんだムンク、
発達障害のピカソ、強迫神経症と統合失調症の草間彌生、
パーキンソン病の岡本太郎なども障害を抱えながら新時代の名画を数多く
残したのです。ですから一概に精神的病(やまい)イコールハンディを持った
可哀想な人と定義つけるのは間違っていると思います。
彼らが創り出した才能あふれる作品は愛好家だけではなく
世界中の人々に感動を与えているのです。
ここにこの様な話があります。
【神様がくれた耳】
アメリカの学校で理科の授業中
実験に使っていたマウスが逃げ
どこに隠れたのかわからなくなった
女性の教師はみんなに探させたが
見つからない
そこで全員を席に着かせ
自信たっぷりにこう言った
「これだけ探して発見できないのなら
あとは、モリス君にお願いしましょう」
途端に、ちょっと待って何でアイツが
という声があちこちから起こった
教室はざわめき、一人が
「モリスには無理です」
と手を挙げて言った
実はモリスは目が不自由なのである
教師は答えた
「なるほど、確かに目が不自由です
だからモリス君には無理だと
みんなは思うかもしれません
でも、先生は知っています
モリス君は目が不自由でも
神様から素晴らしい能力をもらっています
聴力です
それを生かせば必ず
マウスを見つけてくれると
先生は信じています
モリス君、お願いできますか?」
そして、モリスは期待に応えて捜し出した
そして、日記にはこう書き残した
「あの日、あのとき、僕は生まれ変わった
先生は僕の耳を神様がくれた耳と言って
褒めてくれた
僕はそれまで目が不自由なことを
心の中で重荷に感じていた
でも先生が褒めてくれたことで
僕には大きな自信がついた」
このマウス事件から十数年
神の耳を生かして音楽の道に進んだ
スティービー・モリスは
シンガー・ソングライターとして
鮮烈なデビューを果たす
スティービー・ワンダーという名前で!
皆様の耳は正常に音を聞き分けていますか?
正しい音は心を癒してくれますが、雑音に近い音は感情に悪影響を与えます。
モバイルを通じて流される音楽は圧縮音で本来の音ではありません。
インスタント食品を食べ続けると身体に害を与えるのと同じで、
モバイルの音を聞きすぎると聴覚が正常に働かなくなります。
聴覚のメンテナンスは森の中を歩くことをお勧めします。
野鳥の鳴き声や川の流れ、木々を通り過ぎる風の音に耳を澄ましてください。
ストレスが軽減されますよ。森の中の演奏会も開催されています。
マイナスイオンを胸いっぱいに吸い込んで心も体もリフレッシュしてください。
これからも神様から与えられた耳を大切にしてください。
次回は「良い音を聞く耳になるには」をテーマに原稿を書いてみます。