他人の服

 

そんなに他人の服を着たがらないで!

他人が作った価値感と云う生地を、
他人が作った美意識と云うパターンを、
他人が作った幸福と云うボタンを、
他人が作った満足と云うポケットを、
そのまま着ても似合わないよ。

あなたにはあなたに似合う服があるはずだから、
不器用でもあなたが手造りで作った服が一番似合うはず。

そんなに背伸びをしないで、
そんなに見栄を張らないで、
そんなに無理をしないで、
そんなに我を張らないで、

自然のままが一番。

清潔で簡素で礼儀という素材で、
丹精込めて作った服をさりげなく着るのが一番。

少しぐらい時間を掛けても、
とっておきのオリジナルの服を作る事が大切。
あなたにはあなたに似合う服があるはずだから。

そんなに他人の服を着たがらないで!

日本人とアメリカ人のグループで判断に要する時間の調査をしていた。
先ず個人・個人で物を選ばせる。

日本人は個人だとさほど悩まずに選べることが出来た。
アメリカ人は個人だと結構悩んで選んでいた。

しかし、団体で物を選ばせると、
日本人は圧倒的に悩んで答えを出せなかった。

アメリカ人は自然にリーダーが生まれて、全員合意のもとに答えを出した。

昔から日本人は人の顔色を見て答えを出すように躾られたからである。

他人の意見を聞いてから当たり障りのない答えを出す。
それが「和」に代表される民族の証しなのである。

アメリカ人は多国籍国家だから主張しなければ存在が薄くなる。
その為にリベートという学習で個人の主張を学ぶ。

主張なき同意は個人の存在まで失う恐れがあるからである。

日本の伝統である粋と侘び寂びは目立たない様にする事だが、
逆に言葉無き事が一番主張しているように感じる。

谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の中にその事が書かれている。

何もかも西洋から学ぶ時代は過ぎたのである。
日本人は日本人のやり方が一番似合うのである。

他人の服を着る時代は終わった。

あなたも、いつまでも他人の服に憧れるのを止めることにしませんか。