流石

 

さすが名人ですね。
さすが名物ですね。
さすが本物は違いますね。

「流石」は、自分が予想した以上に評価が高く納得した時に使う言葉です。

しかし、何故「流石」が流れて行く石なのでしょうか。
考えた事がありますか。中国の昔話から語源が来ています。

その昔、中国に孫楚(そんそ)という人がいました。
孫楚は、世の中を嫌って山にこもりたいと思い、友達の王済(おうさい)に次のように言いました。

「私は、これから石を枕に寝て、川の流れで口をすすぐような生活をしたい」と言いたかったのですが、
間違えて「石で口をすすぎ、川の流れを枕にして寝たい」と言ってしまいました。

これを聞いた王済が「なにを間違っている。石で口をすすいだり、
川の流れを枕にするようなことが出来るのかい?」と言い返しました。

負けず嫌いの孫楚は、屁理屈をこねました。

「流れに枕するのは、耳を洗うためであって、石ですすぐのは、歯を磨くためなのだ」と言ってこじつけた。
これを聞いた王済は「とんでもない屁理屈を言う奴だが、なかなかうまいことを言うな。」と大変感心しました。

ここから、感心するときの「さすが」という言葉を「流石」と書くようになったそうです。

夏目漱石の名前の由来が、この話から来ている事を知っている人は少ないと思います。
漱(すす)ぐ石で漱石です。

又、流石を英語で書くとローリングストーンと表記します。
あのミックジャガー率いる有名な英国のロックバンドも同じ名前ですね。

今ではメンバーの平均年齢が60代後半の、世界最高齢のロックバンドです。流石ですね。

私の好きな言葉に「流れる石は激流を選べず」という言葉があります。
人は運命に逆らわず、決められた人生を、流れに任せて生きろという意味です。

若い時には、この意味が理解できず、流れに逆らってばかりして、多くの苦労をしました。

あちらこちらの石に、ぶっかることが、エネルギーの源だと勘違いをしていたのです。

子供の頃に親しい住職から「人生僅か70年」と言われ、
僅か、70年しか生きていくことが出来ないのだと思い、
少し慌てたのかも知れません。

年を取り沢山の失敗を重ねてから、この意味を理解する事が出来るようになりました。

最近では流れに逆らわず、生きる事が出来るようになり、
石(性格)の角も取れて丸くなったと言われます。

流石に先人は上手く言葉と文字を考えたものです。