アリが象をたおす
アリが森の中を旅している時、象にぱったり会いました。
アリは急いで穴の中に逃げ込みましたが、足を一本巣穴から伸ばしました。
それを見て不思議に思ったウサギが聞きました。
「アリさんいったい何をしているの?」アリはウサギに言いました。
「しっ、静かに。象の足をひっかけて転ばせようとしているのだから!」・・・・・」
この話を聞いて、バカバカしいと思うか、ほほえましいと思うか、無謀だと思うか、
狂っていると思うか、貴方はどう思いますか。
99%無理な戦いでも1%の望みに託して、行動を起こす事が大切だと思うのですがどうでしょうか。
勿論アリの足一本じゃ1%にも満たないと思うのですが、
諦める行為より、諦めない行為の方がずっと未来に繋がると思います。
例えば大手会社を相手に入札で競争した時、最初から諦めてしまうか、
違う方法で勝ち抜くことを考えるかが大事ではないでしょうか。
勿論、結果は予想通り大手会社が入札を取ったとしても、自分達の企画と提案はそこに残るのではないでしょうか。
その上に大きなものに挑戦した経験は、必ず次の入札の時に無駄にはならないと思います。
小企業が生き残る為に、一番無難な方法は、大きな仕事を狙うのではなく、
身の丈に会った小さな仕事を多くこなす方が良いという考えがあります。
しかし、その考えからでは、ソニーやトヨタやパナソニックは生れなかったと思います。
敗戦国の日本がアメリカの市場を目指して、アメリカに乗り込んだ時は、
正に巨大な象に立ち向かうアリのようなものだったと思われます。
自分より大きなものに立ち向かうのはとても勇気のいることです。
大国アメリカに戦いを挑んだ日本の企業の勝算は何処にあったかです。
力では敵うわけは無いのですから、頭を使うしかないのです。
なぜこの象はこんなに大きくなったのか。この象はこれから何処に向かうとするのか。
なぜこの象を皆が恐れるのかを考えるのです。
一つの例を取ると車が有ります。アメリカでは富の象徴として大きな車を好んで乗っていました。
当然経済効率等は考えていなかったのです。
それでも売れ続けたから世界一の車所有国になったのです。
しかしいつまでも好景気が続くわけがなかったのです。
国全体が不景気になり所有者は困り始めました。
燃費の悪い大きなアメリカ車を自由に乗り回すには、維持費が続かなくなって来たからです。
その時を狙って、コンパクトで経済効率の良い日本車が乗り込んで行ったのです。
最初の頃は、こんな猿が乗るような小さな車を、アメリカ人は絶対のらないと、馬鹿にしていたらしいです。
車の部品だけなら買ってやるとまで言われたそうです。
しかし日本車は、車自体の装備がしっかりしているのと、車を楽しむ為の備品が豊富にあったという事です。
それ以上に購買者にとっては価格が安い事が一番魅力だったと思います。
そして徐々に乗り心地の良さが評判になり、多くのアメリカ人が買い求めるようになったのです。
そして、その後にアメリカの大手自動車会社を廃業に追い込むまでになったのです。
まさにアリの足一本で象を倒した事になったのです。
現在、我々の前には未曾有の大不景気と云う大きな象が立ちはだかっています。
この象を倒さない限り安心して道を歩く事は出来ないのです。
前例の無い事ですから、あらゆる智慧を出し合わなければなりません。
大きさに怯えるのではなく、勝負に立ち向かう勇気が大切だと思います。
アリにだって勝機がある事を忘れないで下さい。