思考の循環




私の哲学の師匠から聞いた話です。
ドイツの哲学者カールヤスパースが弥勒菩薩を見て「こんなに美しい仏様は
よほど悪いことをなさったのに違いない」と言われたのです。
この言葉を聞いた時に「美は悪を取り除いたところに存在する」という
自分なりの解釈に到りました。

その後がカールヤスパースを調べていくと友人に哲学界の巨人ハイデガーが居た。
あの難解な哲学書「存在と時間」の作者である。
彼の講義を聞くと誰しもが魅入るような素晴らしい内容であったと言う。
しかしハイデガーは悪い男でも有名で学部長争いの時ライバルをナチス軍に通報して
収容所送りにしたり、自分のお気に入りの女生徒を無理矢理娶ってしまった。

その哲学者ハイデガーと日本の禅研究家鈴木大拙は友人同士であった。
(鈴木大拙(だいせつ、1870〜1966)とは、禅をはじめとする仏教、広くは東洋・
日本の文化や思想を海外に伝えたことで知られる。本名は鈴木貞太郎だが、
居士号の大拙「Daisetz」の「D」、貞太郎「Teitaro」の「T」をとった英文表記
「D. T. Suzuk」の方が、ZENに関心を抱く欧米人にとってはなじみがあるだろう。)

大拙の盟友である哲学者・西田幾多郎(1870〜1945)の高弟・西谷啓治(
1900〜1990)は次のように語っている。「(大拙)先生の仕事は仏教、特に禅を
伝えることに中心があったわけだが、これは考えてみると、禅に通じていて、
同時に語学力があるという人なら、誰でもできるという種類のものでない。

この仕事が本当にできるためには、禅の長い伝統の中に深く根をおろしている
ことはもちろん、同時に、それが現代に生きている人間の血肉になり、
現代世界のものとしてつかみ直されることが必要であろう」。これは、
大拙の仕事が単なる禅籍の英訳または禅語の英語解説ではないことを示している。

余談であるがハイデガーも大拙もどちらも身長が156cmほどの背丈の低い
男たちであった。当時の二人の写真を見る前までは、ハイデガーはナチスの
軍服が似合う男だったという記述を読んで勝手に大男と勘違いをしていた。
大拙も文章を読む限りでは大男を想像していた。認識と事実の違いです。

その後友人から頂いた「法華経の新しい解釈」という本の中に「求名」という
坊さんの話が出て来た。名誉や利益に心が引っかかりお経を読んでも本当の意味が
分からずよく忘れてしまうので求名と名がつけられた。
しかし彼は、自分の欠点を素直に認めて改心して悟りを開くことができた。
そして妙光菩薩から弥勒菩薩よ!それはあなたの前の世の姿だったのですと言われた。
ぐうたら駄目坊主の「求名」を経て仏の最高位の弥勒菩薩になられたのです。

哲学の師匠から聞いたあの弥勒菩薩のエピソードを繋ぎ合わせると素敵な物語が
出来ました。これは私のオリジナルの発想であり公的なものではありません。

このようにして思考の循環を繰り返す訓練が必要だと思います。
何かに興味を惹かれたら疑問を持つことです。
その疑問の答えをつなぎ合わせて、その上に様々な思考を巡り合わせて
本質を探る訓練です。知識に対する好奇心を養ってください。

それを文章にするために気になる部分を抜き出して
自分なりの文章を作ってみてください。

私なりに良く使う文章の作り方を教えます。
ビジネス提案型の方法ですが、短い文章で簡潔にまとめることが出来ます。
「PREP」PREP法は、最初に話の結論を述べる構成方法です。

次の4つのパートに分けて展開していきます。
Point(結論):結論は○○です
Reason(理由):なぜなら○○だからです。
Example(具体例):たとえば○○があります。
Point(結論):したがって○○です。

例文
P:このビジネス書の魅力は、図解が多く短時間で理解できることです。
R:なぜなら、文章による説明だけでは体系的に理解するのが難しいからです。
E:具体的にいうと、各項目の冒頭に図解があり、これを文章で説明していく
流れで構成されています。
P:したがって、忙しいビジネスパーソンでも、短時間で要点を体系的に学べる本です。

PREP法には、「要点がすぐに伝わる」「文章に説得力が生まれる」というメリットが
あります。プレゼンのように、限られた時間内で相手の納得感を得たい場面でも
多く使われています。

PREP法が適しているのは、次のような文章です。
ブログ記事(ノウハウ・知識系の記事など)
ビジネス文書
プレゼン資料
Web記事の場合、ユーザーが知りたい結論が最初に書かれていないと、
すぐにページ離脱されてしまう傾向があります。
PREP法は冒頭で何について話すか明示するため読者の離脱を防ぐ効果もあります。

そして文章にとって最も大切なことは起承転結です。
起承転結の構成とは、物事の始まりから終わりまでを順に説明していく方法です。

次の4つのパートで構成されます。
1. 起:物事の前提を説明(導入部分)
2. 承:物事の始まり・何が起きたか
3. 転:物事が転換する事柄や場面
4. 結:結果、どうなったのか
起承転結の構成にするメリットは、ストーリーとしての面白さで読者を惹きつけ、
共感を得られる点にあります。

起承転結の構成が適しているのは、次のような文章です。
• インタビュー記事
• ブランドストーリー
• 企業ストーリー
起承転結の構成は、読者のイメージや感情に訴える力があるため、人や商品、
企業などのブランディングを進めたいときに有効な方法です。
一方で、ブログ記事やビジネスシーンでは結論を最初に示してほしいという
ニーズが高いため、この書き方は適していません。
文章の目的によって、使い分けるようにしましょう。

単に思考の循環を繰り返すのではなく文章にまとめることが重要です。
私も文章を作るのが苦手でしたがブログ「恩学」を500以上作品に
書き上げることが出来たのはPREPのお陰です。

皆様も試してみては如何でしょうか?
思考の循環を繰り返しながら自分なりの文章にまとめてみてください。