誰にでも平等に舞台はある




人は皆同じ方向を目指して歩き始める。
しかし同じ方向へ顔を向けていても見ているポイントが違う。
いわゆるピントの合わせている部分が違うということです。
例えば森の景色を全員で眺めている。
森全体を眺める人、目の前の大木を見ている人、森の木に生息している
鳥を見ている人、それぞれが違うところにピントを合わせているのです。

若者たちが俺たち音楽で成功して金持ちになろうなと話しても、
どんな音楽で誰と組んでどんなメッセージを出すかは話していない。
美味いものを腹一杯食べて、かわいい女の子を侍らせて、楽しもうと言っても、
何が美味いのかどんな女の子がいいのかを話していない。
スティーブ・ジョブスのような開発をして世界を驚かそうと話しても、
スティーブ・ジョブスがどんな人間で何を開発したのかは話していない。

一般的に一つの表題で会議が始まっても眺める視点が違えば意味をなさない。
そのためにアメリカから取り入れた会議の進め方の方法を取り入れる。
進行表(アジェンダ)の作成と進行役(ファシリテーター)が重要なポイントになる。
ここで決められた時間内に話し合い、決められた目的の成果を作り出す。
日本の国会答弁のようなダラダラした話し合いは時間の無駄である。

今回のブログのタイトル「誰でも平等に舞台はある」は、
常に自分のピントが何処にあるかが重要になるということです。
仕事でも恋愛でも社会活動でもあらゆる所に舞台は用意されている。
しかし自分の意識(ピント)が明確に無ければ舞台に上がっても役に立たない。
お分かりのようにピントは意識の作用が大きく影響する。

例えば、机の上に置いてあるリンゴをさしてこれは何ですかと質問すると
ほとんどの方がリンゴですと答える。ただの赤い球状の物を
リンゴと答えるのは脳に刷り込まれた情報によって判断されるからです。
リンゴが腐り、食べられなくなればリンゴとは言わずにゴミに変わるのです。
しかし貴方の意識は机の上のリンゴに目を向けられるのでは無く、
リンゴのわきの消しゴムに目が行くとこれは何ですかという
質問に答えられなくなる。
見ているあなたのピントは意識を何処に置くかで答えが変わるのです。

アーティストも経営者も時代にピントを合わせて仕事を進めていきます。
それでも同じ商品を違ったポイントで作り出すから市場が賑わうのです。
ピントを合わせる方法はいつも全体をボヤかして見ることです。
街を歩く時、会社や教室に入る時、全体をほのめかして見れば良いのです。
そして何事かに意識を向けたときにピントを合わせるとピタッと決まります。
不要な情報にピントを合わせると焦点が定まらずにぼやけてしまいます。
そうなれば自分の言葉から核心を突いた意見が出なくなるのです。

情報は集めるだけ集めて分析(Observe)を行い検討会(Orient)に入る。
その時から集中して自分の脳のファインダーにピントを合わせる、結果
決定(Decide)をする。そこから最速で行動(Act)に移る。行動した内容を持ち寄り、
また必要な情報を集める。これをループ上にして繰り返すのです。
これはアメリカ政府が取り入れているOODAという手法です。

余談ですが全てのビジネスの方法とデジタルの発展は軍部と関係しています。
コンピューターの最新技術は全て軍隊が使いこなせるように開発されるのです。
国家にとって最重要課題は防衛です。そこに国の英知が使われるのです。
又、NASAの技術はディズニーランドで多く使われています。
宇宙飛行士の訓練で使われる機材が人々の興奮を創り出しているのです。
アメリカの凄いところは最新技術をオープンして誰でもが使用できるように
することです。アイデアのシェアーを頻繁に行っています。

「ピントとアイデア」
あるときに電気修理工が電波塔の不具合を治しているときに、
いつもポケットに入れているチョコレートバーが溶けているのに
疑問を持ちます。次の日もキットキャットを持ち込んだら、
同じように溶けていることに気づきます。
このことに開発者のピントが合わさり、電子レンジの構想が生まれたのです。
電波が物を温める力があることが発見されたエピソードです。
多くのビジネスのヒットは少し違ったところにピントをおくことによって
生まれたものが多数あります。

例えば魚の群れを探すための魚群探知機から胎児の成長見るエコー検査機が
生まれた。胎児の体重は健診時に超音波検査で測る3点の長さから
自動的に算出されているのです。エコー画像からBPD(児頭大横径)、
AC(躯幹周囲長:腹囲)、FL(大腿骨長:太ももの骨の長さ)の3点を計測し、
その数値を計算式に当てはめると、推定胎児体重(EFW)が算出されます。
お腹の中の胎児の状態がエコーで分かるという事です。

面白いところでは「フリスビーの誕生伝説」
砂浜でのパーティーを終え思い思いに遊び始める大学生たち。
テーブルには食べ終えたパイ皿が散乱している。一人がふざけて
そのブリキ皿を取り上げて投げた。円盤型なので遠くまでよく飛ぶ。
面白がって何人も後につづき、しまいには投げ合いになる。
一人が落ちたパイ皿を拾う。表面には「Frisbie’s Pies Company」とある。
のちに世界で記録的な大ブームを起こすフリスビーが生まれた瞬間だった。

「ウォークマン誕生秘話」
SONYの会長大賀典夫は芸大出身のオペラ歌手です。
世界中を飛び回るビジネスマンとしても有名ですが、ある時にSONYの技術者に
飛行機の移動中に音楽を楽しみたいので、持ち運びできるステレオを作れるかと
打診します。SONYの技術者は出来ますと答えて開発されたのが
「ウォークマン」です。

「ウォークマン」という機械は、もともと商品として売り出す、
という明確な意志で企画されたものではないというのが真相です。
それは若いエンジニアの遊び心から生まれたもので、
テープレコーダー事業部の商品企画のラインアップにはなかった商品でした。
いわば筋書きになかったわけで、だからこそウォークマン・ストーリーは
面白いのです。

古巣SONYの凄いところは全ての社員にチャンスを与えている所です。
自分が欲しいと思える商品なら好きに開発しろという事です。
技術者たちは自由に研究室においてある機材が使えることです。
ウォークマンこそピントとチャンスが合わさった成功事例です。

生まれ育った環境や、自分の知識の限界や、
参加したプロジェクトの優劣で愚痴を言っても始まりません。
誰にでも舞台は用意されているのですが、それを使いこなすには
あなたのモノの見方、発想の仕方、想像力の組み立て方など
すなわちピントの合わせ方に大きく左右されます。

自由な発想から世界を驚かす商品は生まれます。
データドリブンのコンピューターには出来ないのです。

誰にでも平等に舞台は用意されています。
あなたも舞台の中央に立ってみてください。
そこから見える景色から新たなピントを合わせてみてください。