音の効用
音楽としての音がある。さまざまな音楽を聞く事によって、
楽しくなったり、悲しくなったり嬉しくなったり、切なくなったり、
心の中にそれぞれの表象が現れる。
音楽としての音がある。美しい旋律と心地よいリズムと熱きメッセージは、
未来の願望であり、過去の記憶であり、現在の活力でもある。
音楽としての音がある。忘れたエピソードが音楽によって目覚めさせられる、
叶えられない恋も叶う気がしてくる、見果てぬ夢も捕まえられる気がしてくる。
音楽にはそれぞれの景色がある。視覚で捉えたイメージが記憶に残り、
その記憶は好みの音楽を聞く事によって蘇って来る。
音楽は絵画や彫刻とちがって時間芸術である。演奏者と聴衆のあいだで
常に交感をしなければ、ただの音として消えて行くだけである。
一瞬のやり取りの中に鮮やかな景色が浮かび上がり、その時に感じた心が
心象風景と重なり合うのである。
「音は心の中で音楽になる」
大好きな人と
大好きな音楽を聞く
心を通わせながら
ときめきの調べを聞く
星も月も太陽も
愛の賛歌に声を合わせる
悲しい出来事に涙して
音は勇気を与え
嬉しい出来事に微笑んで
音は笑顔を与える
心が穏やかだと
聞こえる音
すべてが優しくなる
そして 音は心の中で祈りになる
また、音楽は脳や心にどのような影響を与えるかにこのような文章があります。
「文字文化を持たない社会はあるが、音楽文化を持たない社会はない」
といわれるほど、人にとって音楽は身近なものである。
音楽を聴くことで自然と気分が向上したり、リラックスしたりするという
経験は、おそらく多くの人にあるだろう。その経験からも分かるように、
音楽は人の心と身体にさまざまな影響を与える。
音楽には特定の感情を誘発させる効果や、“覚醒水準を調整する効果”が
あることが多くの実験によって確かめられている。
覚醒水準を調整する効果とは、脳や神経の覚醒水準が高いときは
それを抑え、低いときは高めるという働きである。
すなわち、過度の興奮状態であればそれを抑え、過度の落ち込み状態であれば
気分を高める効果を持つ。
音楽は音の集合体です。澄んだ音であれば澄んだ
音楽になります。自分の大好きな音が集まればそれだけでも音楽になり
脳にも心にも影響するのです。
子供の頃から大好きな人の話す声は音楽のように聞こえていた筈です。
そして大好きな人の表情は素敵な映画を見ている様だった筈です。
大好きな人と経験を共にすれば思い出が色あせても記憶にずっと残るものです。
日常の風景が全て音と繋がるのです。
「音は心の中で音楽になる」
谷口高士編著
<内容説明>
心理学の本を探せば音楽心理学のことがわかるかというと、
まずそんな項目は存在しない。それなのに、世間では「音楽心理学」とか
「音楽療法」などという言葉だけが、どこからともなく現われて
目の前にちらついている。これでは、「音楽心理学って何?」と
たずねたくなるのも無理はない。特に最近は、「音楽」と「癒(いや)し」
がセットになって頻繁にマスコミに登場している。
いったい「癒し」とは何か、音楽の何がどのように人間に効果を
もたらすのかということを曖昧にしたまま、音楽療法のなにやら
身近でとっつきやすそうなイメージだけが広まっている。
楽器を演奏できる人が、自分にも「音楽療法とやら」ができるのでは
ないかと勘違いしてしまう。
そのような、音楽を知っているが音楽心理学に対しては疑問や期待
(あるいは幻想)を抱えている人のために、本書の企画は生まれた。
もちろん、これから音楽心理学研究を始めようという人にも役立つものである。
人はどうして音楽するのか?
音の集まりがどうして「音楽」として感じられるのか?
音楽を聞き演奏する時に心や頭の中で何が起こっているか?
音楽にまつわる人の認識,思考,感情のメカニズムやプロセスについて
研究する分野の本格的入門書です。
興味のある人は是非読んでみてください。
私は更に音域の周波数が脳にもたらす効用について勉強中です。
それぞれの楽器が脳に働きかけて治療効果が生まれるメカニズムを解析中です。
モーツワルトが子供の時からサバン症候群(知的障害・発達障害)と
てんかん症で苦しんでいたのをピアノ交響曲の高域の連打を弾くことによって
癒していたといいます。特にてんかんに効果があったのが
「2台のピアノのためのソナタ二長調」だと言われています。
ベートーヴェンもショパンもそれぞれ持病を抱えていたのを音のちからで
(周波数の力で)癒していたと伝記に書かれていました。
自然界の可聴範囲を超える音の波に楽器の音を加える音楽療法もあります。
その為には森の中の演奏会へ出かけるか、ハイレゾの再生機で聞くかの
方法があります。
私の知り合いの医者は治療で和太鼓の演奏を聴かせます。
和太鼓の低周波が精神を落ち着かせる作用があるので取り入れている
という事です。
音の世界はまだまだ未知の世界です。
全ての音が脳の働きを動かすスイッチのような気がします。
AIの時代通信速度が一気に加速する中で音の能力をコンピューターが
管理するとどうなるのでしょうか?
開けてはいけないパンドラの箱をすこし覗いてみることにしました。