魚の大きさ




「水槽より大きくなった魚はいない」
小さい時に見た夢は直ぐに消えてしまいます。
しかしまた直ぐに次の夢が現れます。
その夢の大きさが水槽の中に収まる魚ということです。
会社を興して事業規模を決めた時に魚の大きさが決まると言います。
SONYの故盛田昭雄会長も「大風呂敷を広げるだけ広げろ。
それが会社の大きさになるのだから」と言っていました。

台湾華僑の友人が教えてくれたこの言葉は強く印象に残っています。
その時に語られたもう一つの言葉も印象に残っています。

共通の台湾の仲間を指して、なぜ私が彼と付き合うか知っていますか?
「彼は捨てられた犬」だからです。従順な割りには、猜疑心が強く、
優しくすると擦り寄り、距離を置くと離れて行く。いわゆる誰も信じられないのです。
だからいつもいろいろな仕事の話を持ってくるが、ほとんどゴミのような価値のない
話ばかりです。石ころやかん缶や木の棒を加えて尻尾を振るのです。
それでもたまには宝石やお札も拾って持ってくるのでそばに置いている。

世界の商人と言われるユダヤ人と華僑の教えは人生に沿った内容なので
とても分かりやすい。人を見る極意が述べられているからである。
どの国でも一瞬にして相手の器量を判断して商売を成立しなければならない。
その教えと訓練が子供の時からなされてきたと言っていました。

ユダヤ人の聖典タルモードにはこのようなことが書かれています。
ユダヤの格言より賢人になる七つの条件(大前提)
・自分より賢い人がいるときは沈黙すること
・人の話の腰を折らないこと。
・答えるときにあわてないこと。
・常に的を射た質問をし、筋道だった答えをすること。
・まずしなければならないことから手を付け、後回しにできるものは最後にすること。
・自分が知らないときはそれを認めること。
・真実を認めること。
当たり前のことですが守るのは難しいですよね。

経営者が会社の行く末を考えた時に会社規模に応じて会社は成り立つ。
当然、事業内容、資金計画、従業員数などで現状を知ることはできるのですが、
代表者が考えている目指す事業規模が分からないと従業員は目標を持てない。
多分労働者は知る必要がないと思っているのだろう。その昔は会社イコール
定年まで働く場所であり社長は小さな国の天皇であった。
誰も逆らうことは出来なかった。

しかし現代のようなデジタル社会ではそれぞれの働き方を尊重しなければ
会社は成り立たないのです。会社に行かなくてもリモートワークで対応する
社員も増えています。日本だけではなく市場がグローバル化されて
海外の社員も増えてきました。国籍イコール思考や価値観が違う集合体になっています。

経営者が専門分野のスペシャリストでリーダーシップが発揮できる会社のみが
注目を集めて投資金も増えてすぐに上場が叶うのです。
共通しているのは会社全体に遊び心が溢れているという事です。
ウェルビーングな考えを取り入れて働き方も働くスタイルも変わりました。
社員は給料よりも職場の快適さを求めるのです。

間違っても水槽ばかり見栄えが良くても中に入れる魚が
大きくならない魚種だったら意味がありません。
失敗しても立ち上がり会社の貢献のために死に物狂いで働く人間が必要である。
会社の業種が時代に通用する業種か、終わりゆく業種か、これから勢いのつく業種か、
その判断を間違えれば大きくならない魚を飼うことになります。

人間の成長もこれに順じて読む本が必要になる。
なぜ青春期に戦国武将の本を読むのか立身出世の物語ほど男性の意気を
もり立てるものはないからである。三国志然り、項羽と劉邦然り、国盗り物語然り、
底辺から上り詰めて国を治めるまでになる物語はやる気を引き出すからです。
中小企業の経営者が読む矢沢永吉の「成り上がり」もその一つかもしれない。

吉田松陰の言葉に「志を立てざるべからず」というのがある。
「道の精なると精ならざると、業の成ると成らざるとは、志の立つと立たざるとに
在るのみ。故に士たる者は其の志を立てざるべからず。其れ志の在る所、気も亦従ふ。
志気の在る所、遠くして至るべかざるなく、難くして為すべからずものなし。」

解説
人としての生き方が正しくすぐれているかそうでないか、また、仕事や勉強などが
うまくいくかいかないかは、心に目指すところがきちんと定まっているかいないか、
つまり志があるか否かによる。だから武士たるものは志を立てないわけにはいかない。
つまり志があればやる気もそれに従うものである。志とやる気があれば、目標が
遠すぎて至らないということはなく、また、難しくてできないということはない。
吉田松陰の研究家川口雅昭氏の著書より引用
私の長年の友人である。

最後に
「40歳までは勝つことを優先し、40歳からは負けないことを優先せよ」
武田信玄
戦国時代の平均寿命が60歳代であった。

現代の様に人生100年時代では
「70歳までは勝つことを優先し、70歳からは負けないことを優先せよ」
が、正しいのでしょう。私は負けないことを優先しています。

魚の大きさは志の大きさです。
さてあなたの大きさはどれぐらいでしょうか?