アナログ世代とデジタル世代




アナログとは、連続した量(例えば時間)を他の連続した量
(例えば角度)で表示すること。デジタルが連続量をとびとびな値
(離散的な数値)として表現(標本化・量子化)
することと対比される。時計や温度計などがその例である。

デジタル世代は歌詞を聞きすぎる。アナログ世代は音を聞いていた。
音を聞いていたから洋楽でもカッコよかった。
何より歌詞の意味などどうでもよかった。
たとえば僕はロックンロールをよく聞いていたけど
元気つける歌詞なんて一つもない。お前に未来は無いって歌っているんだよ。
「ノー・フュチャー・ホー・ユー」
それ聞いて今日も学校へ行ってやろうと元気になった。

デジタルになると情報が綺麗に入って来ちゃって、
歌詞の文字を追い過ぎちゃっている気がする。
ぼんやりしていない、ぼんやりするとどこに焦点を合わせるかを
自分で選べる。しかしデジタルで歌詞をぺらんと一枚にされると、
みんなそれしか見れない。
ブルーハーツ甲本ヒロト談

私が初めてギターを手にしたのは中3の時、質流の安いギターだった。
もちろんエレキは変えずにアコスティックのギターであった。
チューニングの仕方も分からずに音を出してみた。もう最高だった。
まるでオーケストラの指揮者みたいに手を振るだけで音が鳴った。
楽器屋の店員にチューニングの仕方を教えてもらってなんとなく分かった。
髪を伸ばしてジージャンを着たらいきなりアメリカンになった気分を味わった。

早速アメリカのフォークシンガーボブディランのコピーをした。
金物屋で太めの針金を買ってハーモニカーホルダーを作った。
彼はいつも肩からかけたハーモニカを吹いて演奏をしていた。
それを真似したのである。
ボブディランのレコードを買ってきて取り敢えず楽譜を耳で覚えた。
ドンシンクトワイス・イッツ・オーライとハード・レインと
マスター・オブ・ワーを覚えた。
高校の時にはエレキを買ってタートルズのハッピー・トゥゲザーを
コピーした。
そのあと何故かPPM(ピーター・ポール&マリー)にのめり込んだ。

大学生の時、学生運動が盛んになり自分の居場所が無くなった。
近くの工事現場でバイトして横浜から船に乗ってイギリスへ行った。
仕事も住むところも無く行き当たりばったりの人生を選んだ。
アフロヘアーでパンタロンを履き毛皮のコートを着たらロンドン子になった。
まるで「時計じかけのオレンジ」を体感しているような世界であった。

今まで予定調和の人生なんて考えたことも無い。
自分の人生は自分で切り拓くことしか頭になかった。

人は皆強いようで弱い
肉体を纏った生命は儚い

今朝この言葉を友人の投稿で見た。
何気ない言葉なのだがこれがアナログの表現であってとても良い。
旅に出ている写真や食事に行った写真やペットと遊ぶ写真はデジタルである。
ただ投稿のためのストーリーでデジタル社会の生んだ産物である。
私もSNSで行動範囲をお知らせするだけで心までは表現しない。

これからはアナログとデジタルを共有する社会を生きていかなければならない。
企業の詭弁であるSDGsとお客様本位の考えを中心に経営しますという嘘も、
政府も子供が安全で老人の幸福を一番に考えますと言いながら
税金を上げる嘘も、もううんざりである。
市場では直ぐに壊れる安価な商品、色も鮮やかな毒入りの食品、
人をものとして扱う人材派遣会社、
利益追求のものばかり。そこには愛はない。

ロックシンガー伊丹谷良介のライブ「うた」はデジタルを屈指するが、
表現はストレートなアナログである。
毎月のテーマは「ブッダ」「生命」「芸術」「科学」と続く。
そして毎回自作の絵を数点飾る。その上にテーマに沿った新曲が加わる。
このライブは古い言い方をすれば「魂の叫び」のような歌声で客を魅了する。
そこにデジタル音は気にならず、言葉の意味も分からずとも、
伊丹谷良介の存在そのものがリアルに残るのだ。

恵比寿の小さなバーを会場として選んだのは、観客と同じ目線で
テーマを語り合いたかったからである。
このシリーズが完成すればどこでもライブは出来る。
幼稚園でも学校でもお寺でも集会所でも人が集まる場所なら、
どこでも演奏会が出来る。
時代はデジタルを使ってアナログの表現を待っているのである。

甲本ヒロトが言うように歌詞の意味などわからなくても、
興奮した音楽の世界を体験すべきである。
興奮したらステージに上がり叫べば良い。ライブ終了後に話し合っても良い、
メールでのやり取りで自分の思いを伝えれば良いのである。

負けるなよ人間!俺たちは一緒に興奮する奴らを仲間として呼び込みたい。
そこに時代の変化が生まれてくる。あなたも目撃者になれるのだ!

感情は連続した量から生まれてとびとびの時間からは生まれて来ない。
とびとびの時間から生まれるのは伝える行為のみである。