負ける悔しさ




挑戦とは失敗を想定して戦いに臨むことです。
勝つことばかりを想定して戦いに臨めば、
少しの負けにもアタフタしてしまいます。
そして負けることの経験から大きく成長することも確かです。
また、悔しさは判断を敏感にして、物事を進める際に慎重になり、
周りをよく見る目を養ってくれます。

あの家康公も戦で大敗を喫したことがあります。
武田信玄に敗れた「三方ケ原の戦い」。
這う這うの体で自分の居城に逃げ返った直後、
自分の苦々しい姿の似顔絵を描かせて、
これ以後その絵を自分の戒めにしていた。
これが260年余続いた江戸幕府の基礎になりました。
「負けは」己を成長させる糧になるのです。

まさに「臥薪嘗胆」の心情で悔しさを忘れずに名将となったのです。

「臥薪嘗胆」(がしんしょうたん)
目的を果たすために、苦難に耐えて機会を待つこと。
「臥薪」は固い薪(たきぎ)の上で寝ること。
「嘗胆」は苦い肝(きも)をなめること。

春秋時代、呉王の夫差は固い薪の上で寝ることで、
父親の敵である越王の勾践へのみを忘れないようにし、
ついには会稽山の戦いで勝利した。
その一方で、会稽山の戦いで敗北した勾践は、
寝室に苦い肝を置き目覚める度に
それをなめることで敗北の恥を思い返し、
ついには夫差を滅ぼしたという故事から来ています。

また一人の強い思いによって世の中を変えることが出来ます。
「一燈照隅万燈照国」天台宗開祖「最澄」
たとえ小さな燈でも大勢の人の燈になれば国をも照らす。
という言葉があります。
ボランティアの活動はまさにこの精神である。
自分一人がやっても何の効果も無いという前にやることが大切である。
その行動を見て一人の人が参加すれば万人にはすぐに手が届くのです。
そのようにして社会のゆがみを変えていくのです。

「利他心」、「布施」、「救済」、「奉仕」、「無償の愛」
人との付き合い方には素晴らしい言葉がいくつもありますが、
その言葉に自分で壁を作り、まずは経済的余裕ができてから、
時間的に都合がつけば、子供が大きくなったらと、さまざまな
理由をつけて、一切行動に起こさない方のほうが多いかと思います。

善いことをすることを恥ずかしいという方がいます。
何故でしょうか?
ボランティアの行動は他人から「ほめられたい」からとか
「自分はいい人」だと思われたいから、見え過ぎた「偽善」を
行っているという否定的なことを言うのです。

「偽善」という言葉は行動に表さない人が使う言葉です。
行動を起こす人は「恥ずかしい」とか「みっともない」
という言葉は使いません。
困っている人に対して善いことをするのに「忙しい」からとか
「余裕がない」からとかは一切言いません。

王陽明の「知行合一」という言葉があります。
知識と行動は共に合わさなければ意味がないという言葉です。
花を見て花を手に取り美しいという言葉が出て、
初めて知識と行動が伴うように、憂国の士が世情を嘆くことと共に
草莽崛起しなければ意味が無いという事を語っているのです。

吉田松陰も西郷隆盛も特攻隊も三島由紀夫も思いを貫くために
最後は自死を選んだのです。
それは自分たちの死によって大衆を目覚めさす為です。

「武士道とは死ぬことと見つけたり」葉隠
負けた悔しさ以上に自分を信じる後輩のためにも
「決心」という意味の重さを伝えたかったのです。

世の中には計画通りにいかないことだらけです。
しかし成功体験より失敗体験の方が人間を成長させてくれます。
私は過去の失敗体験もこれから起こるであろう失敗も
楽しみながら過ごしていきます。

多くの著名アスリートも「くやしさ」をバネにして成長したと言っています。
ロシアの棒高跳びの世界記録保持者のセルゲイ・ブブカ選手は、
人よりも多く練習するのは勝つためでなく、失敗をしないために
しているのだと言っています。
負ける悔しさを何度も経験しているから練習の大切さを言っているのです。

発明王エジソンは「わたしは失敗したことがない、
1万通りのうまくいかない方法を発見した」と言っています。

失敗する悔しさを知っている人間は失敗というネガティブな発想に
とらわれることも無く、失敗から学んだ自信によって
ポジティブに物事を捉えています。

DNAの二重螺旋構造を発見したフランシス・クリックは、
机の引き出しに失敗で起こる不安は、その99%は実際には
起こらなかったと言います。
研究者にとって失敗は不名誉な事ばかりか支援者から
援助費の削減もある怖さもある。
しかしそれらの不安は現実に起こらなかったと言っています。
負けると思う恐怖に捕らわれる必要はないと言っているのです。

先ずは想定される困難を怖がるのではなく
負けてもつぶれない人間作りです。

成功して傲慢になるより失敗して謙虚になる方が
人として得るものが多くなります。
如何でしょうか?