ありのままに/あるがままに
自分自身の興味のおもむくままに好きを好きとして追求していく。
高校生の時にビートルズよりもボブディランが好きでギターを習い始めた。
質流れの安いギターを購入して独学で耳からコピーをして歌い始めた。
首に取り付けたハーモニカーも自分の手作りで見た目を近づけた。
「ありのままに」自分を裏切らないように生きていく決心をした。
何があってもくよくよしないことである。
Don’t Think Twice It’s All Right
ボブディラン「くよくよするな」
旅をするのは君のせいさ
だけどくよくよするなよ、これでよかったのさ
小学生の時に両親が離婚してしばらくしてから父親の方へ引き取られた。
継母の家族にいじめにあったが子供の自分には抵抗が出来なかった。
18歳になれば独立できる年齢なので、それまで我慢をすればすむと思っていた。
両親や環境のせいにして悲しいとか、みじめだとか、辛いとかは、
敗北を認めることになるので思わないことにした。
「あるがままに」自分を裏切らないように行動することだと信じていた。
黄檗禅にこのようなことが書かれていました。
禅の修行を続けて行くと
タイトルにある「ありのまま・あるがまま」二つの言葉に出会うことが多い。
二つの言葉はとても近しいのだけれども
それぞれの言葉の意味を紐解いていくとその意味は微妙に、いや絶妙に違っています。
「ありのまま」といえばそう、アナ雪ですよね。
Let It Go〜ありのままで〜歌詞から一部抜粋してみます。
「とまどい 傷つき
誰にも打ち明けずに悩んでいた
それももうやめよう
ありのままの姿 見せるのよ
ありのままの自分になるの
だってもう自由よ なんでもできる
どこまでやれるか 自分を試したいの
そうよ変わるのよ わたし・・・」
そう、ありのままとは「自由」のこと。
自由というと勝手気ままとかわがままと捉えられることもあるけど
本当の自由とは
「自らに由(よ)る」
「自らを由(よ)し」とするってこと。
他人に頼らず、本当の自分の声に従って行動すること自分自身を頼って
生きることなんです。
他人の目を気にしたり、空気を読みすぎたりしないで自分らしく生きることなのです。
過去の自分をどんどん脱ぎ捨てて本当の自分に還っていく。
新たな自分に変化するのではなく本当の自分に気づき還っていくことなのです。
一方の「あるがまま〜Let It Be〜」
ビートルズのポールマッカトニーの代表曲です。
あるがままを あるがままに
全てを受け入れるのです
それは知恵のささやき
「あるがままを受け入れなさい」
世界中に住んでいる
心を痛めた人々が同意する時
こたえはそこにあるだろう
「あるがままを受け入れなさい」
こちらは自分らしく、というよりは自分の外側にある人間の作為のない
「自然」に身を委ねる自分を手放して、自然の流れに任せるって感じです。
自然とは本来「じねん」と読み「自ら然(しか)るに」
つまり自我(エゴ)や執着を捨てて自然に、自然体で生きることなのです。
ん?
自分らしく(ありのまま)と自分を捨てて(あるがまま)
って矛盾してない?って思いますよね。
そうです。
思い切り矛盾しています(笑)
でも、禅の世界ではこれは矛盾しないのです。
もう少し正確にいうと、禅の世界では
この相反したものを一体一如(いちにょ)で包摂するのです。
自分と自然(宇宙)は一体一如である。
これを「梵我一如(ぼんがいちにょ)」といいます。
本当の自分の声に従い「ありのままに」生きるという軸と
その自分を捨てて「あるがままに」生きるという二つの軸があり
この一見相反する生き方を包摂し
自らの意思で自在に使い分けて生きましょうっていうのが
禅的な生き方です。
ちなみに「自由」と「自然(じねん)」を
辞書で調べてみてください。
どちらも仏教語なんですよ。
「ありのまま」→「自由」
「あるがまま」→「自然」
そのどちらも仏教語?
ブッダの死期が近い時、弟子たちは言いました。
「ブッダ様、師匠がいなくなったら私たちはいったい
何を拠り所のにしたらいいのでしょうか?」
ブッダはいいました。
「自灯明(じとうみょう)」
「自らを灯明(あかり)とせよ、自らを拠り所とせよ」
「本当の自分の声に従いなさい」と。
ありのままに生きろってことです。
それでも人間ですからやっぱり迷いますよね。
そこでブッダはもう一つ、言葉を添えました。
「法灯明(ほうとうみょう)」
「法を灯明(あかり)とせよ、法を拠り所とせよ」と。
法とは真理のこと、真理とは原理原則。宇宙の法則、自然の法則です。
あるがままに生きろってことです。
ここまでいろんな方便を使って
「ありのまま」と「あるがまま」について説明してきましたが
最後にえいっとまとめてみましょう。
ありのままに、あるがままに生きるということは。
「自分らしく、自然体で生きる」
・・・ってことです(笑)
音楽プロデューサーに成れたのは「ありのまま」に自分の感性を信じて生きてきた
結果だと思います。英国より帰国してCBSSONYに電話をして採用されたのは
「あるがまま」の状況を受け入れてくれたからです。
無理して期待に応えるための人生だと最後まで納得いかない気持ちが残ると思います。
自分の可能性を閉じ込めて周りの言いなりになり過ごすと、
人間として「これで良かった」のかと後悔の念が残ります。
人生を考える時に若いから早いとか年を取ると遅いとかは関係ありません。
気づいた時から「新しい一歩が始まる」のです。
ありのままにあるがままに生きていきましょう。