文章の組み立て




英語は26個のアルファベットと数字の組み合わせで文章が成立する2表記が基本である。フランス語も、ドイツ語もロシア語もほとんどの国が2表記です。
日本語だけは5表記です。漢字・ひらがな・カタカナ・数字・ローマ字です。

多くの2表記の国では言語によって左脳の発達を促し、
それと別に右脳を刺激発達させるために、哲学・政治・芸術・体育・芸能など、
リベラルアーツの教育を大切にするのです。

日本語表記にはもう1つ特徴があります。

縦書きと横書きを無意識のうちに使い分けているのです。
とくに縦書きによる表現は、恐らく右脳に多くの刺激を与え、
縦書きの文字を読むことによって、内容が右脳で映像化されていくのでしょう。

更に文章において左から右に読む横書きの表現は、
例えば国語以外の教科書や学術論文等、理論書に解釈するものが多いように思います。
眼球が上下に動くのは恐らく右脳への刺激が強く、
眼球が左右に動くのは左脳への刺激に繋がっていると考えられています。

最近日本では絵文字も加わり世界でも類を見ない6表記になっています。

(参考文献「我思GAON」中澤弘幸)

日本の技術が、日本の伝統文化が、日本のあらゆる所作が、
繊細で美しいのはこのような脳の訓練があるからだと思います。

欧米人の二項対立の考えはマーシャルアーツ(戦闘)の考え方です。
勝つか負けるか、前進するか後退するか、はたまた勝者か敗者か、
常に答えを即求めることが大切だと教え込まれてきたのです。

これは2次元の発想方法です。文字に膨らみがありません。

そしてよく言われるように外国人は虫の音を騒音(ノイズ)としてとらえ、
日本人は虫の音を風流と受け止めるのは、
虫の音を左脳で聞く外国人と虫の音を右脳で聞く日本人の違いからです。

ロゴス的理屈の左脳で聞くか、エートス的情緒の右脳で聞くかに分かれます。

日本の親は子供に秋の風情(月見・お団子・すすきなど)を教える時、
虫の音と一緒に教えるので、情景が立体化されて美しい鳴き声に聞こえるのです。

これが3次元の発想方法です。現象と情緒を組み合わせて映像化するのです。

そしてもうひとつ日本の特徴は何気ないところに美をもとめる心です。
それは言葉や文章の立体化を図るときにとても重要な要素になります。

例えば、建築のなかで日差しよりも日陰を好のむのは世界では日本だけかもしれません。

谷崎潤一郎が書いた「陰翳礼讃」に日本人の磨ぎ澄まれた感性がちりばめられています。


「そして室内には、庭からの反射が障子を透かしてほの明るく忍び込むようにする。
われわれの座敷の美の要素は、この関節の鈍い光線に外ならない。
われわれは、この力ない、わびしい、果敢ない光線が、しんみりと落ち着いて
座敷の壁へ沁み込むように、わざと調子の弱い色の砂壁を塗る。」
「陰影礼賛」より一部抜粋

しかしこれに反論しているのが編集工学研究所所長松岡正剛である。
つまらない文章で日本人の美を歪曲した文章であると言い切っている。
私はこのような専門家による反論が大好きである。

文章の立体化をする時に必要なのは反対意見も必ず取り入れることです。
主軸をぶらさずに脇を打つことでより立体的になる。

特に気になった作品に関しては、多くの人の意見を取り入れながら、
自分の解釈も加えて、どこまで立体的になったか検証をします。

更に、同じ作家の違う作品を何冊か読むことによっても主体が見えてくる。
その時代の背景や文化や経済状態も文章の中には隠されているからです。
作家の意図するところが分かれば、より鮮明に文章が立ち上がります。

文章に酔うのではない、作家の本音に迫ることが「文章の立体化」に
つながるのです。

そして言葉もそれらに影響を受けて立体的になるのです。

これからのAIの時代には物語を立体化することによって、あらゆる世界と共存できる可能性が増えていきます。