ダンテの地獄




一度は書きたかったダンテの「神曲」である。
友人の投稿を見て今回真剣に取り掛かる。
勿論、あくまでも私なりの感覚で取り上げるので解釈に誤解が
生じるかも知れない。
それぞれの楽曲に説明がついているので理解はしやすい。
特に「地獄の意味」と「現代社会の解釈」を読むと腑に落ちるはずである。

「ダンテの地獄に見る現代社会の罪——私たちが直面する課題」

イタリアの詩人ダンテ(1265~1321)が書いた「神曲」をテーマに、
「Inferno(地獄)「Purgatorio(煉獄)」「The Ascension(昇天)」
「Paradiso(天国)」の4つの楽章からできていて、
その第1楽章が「地獄篇」です。

この曲は、ヴァージニア州ハリファックスにあるジョージ・メイソン大学
バンドと、同州ハリソンバーグのジェイムス・マディソン大学からの
協同委嘱によって作曲されました。
そのため第1、第2楽章はジェイムス・マディソン大学のバンド・
ディレクター、パトリック・ルーニイのために、第3・第4楽章は
ジョージ・メイソン大学のアンソニー・マイエロのために捧げられ、
初演でも2人が2楽章ずつ指揮をしました。

ダンテの『神曲』に描かれた地獄の構造は、14世紀の宗教的価値観に
基づいていますが、その象徴的な枠組みを現代に当てはめることで、
今日の社会問題を考える新しい視点を得ることができます。
情欲や貪欲、暴力といった罪は、現在の社会においても形を変えながら
存在しており、私たちが抱える課題の本質を浮き彫りにします。

1. リムボ(Limbo:1層)
• 地獄の意味: 信仰を持たなかったが罪を犯していない者たち。
• 現代社会の解釈: 社会的無関心や「無知」による問題。気候変動や
貧困問題に対する無知や行動不足を象徴。
• 例: 環境問題への無関心、選挙や政治に関わらない若者層。

2. 情欲に溺れた者(The Lustful:2層)
• 地獄の意味: 欲望に支配される者たち。
• 現代社会の解釈: 性的搾取、ポルノ産業、SNSでの過剰な自己表現。
個人の尊厳やプライバシーが損なわれる現象。
• 例: リベンジポルノやセクシャルハラスメント、SNS依存。

3. 暴飲暴食の者(The Gluttons:3層)
• 地獄の意味: 過剰な快楽を追い求める者たち。
• 現代社会の解釈: 消費社会の過剰消費やフードロス問題。個人的欲求が
社会的資源の浪費につながる。
• 例: ファストファッションの乱用、大量廃棄される食品。

4. 貪欲な者(The Avaricious:4層)
• 地獄の意味: 財産や物質をむさぼる者。
• 現代社会の解釈: 経済的不平等、資本主義の負の側面。企業の利益至上
主義や税金逃れ。
• 例: 大企業の過剰利益追求、格差拡大。

5. 憤怒に満ちた者(The Wrathful:5層)
• 地獄の意味: 怒りや攻撃性に支配される者。
• 現代社会の解釈: ヘイトスピーチ、ネットリンチ、社会的分断。
感情的反応が暴力や破壊を引き起こす現象。
• 例: ソーシャルメディアでの誹謗中傷や暴動。

6. 異端者(The Heretics:6層)
• 地獄の意味: 宗教や倫理に反する考えを持つ者。
• 現代社会の解釈: 極端な思想や陰謀論の拡散。科学的根拠の否定。
• 例: 地球温暖化否定、フェイクニュースの拡散。

7. 暴力を犯した者(The Violent:7層)
• 地獄の意味: 暴力を行使する者。
• 現代社会の解釈: 家庭内暴力(DV)、戦争、テロ行為、自己破壊
(自殺や薬物中毒)。
• 例: 銃乱射事件、家庭内虐待、戦争犯罪。

8. 詐欺師(The Fraudulent:8層)
• 地獄の意味: 詐欺を働く者たち。
• 現代社会の解釈: 金融詐欺、SNS詐欺、偽情報。信用を利用して
利益を得る行為。
• 例: 投資詐欺、フィッシング詐欺、虚偽広告。

9. 裏切り者(The Treacherous:9層)
• 地獄の意味: 信頼を裏切る者たち。
• 現代社会の解釈: 内部告発者の不当な扱い、企業スキャンダル、
政府による市民への裏切り。
• 例: 情報漏洩、政治的不正行為。

『神曲』の地獄は、人間の弱さや社会の不正義を象徴的に表しており、
現代社会の問題に対しても深い洞察を与えます。
この構造を通じて、私たちが直面する課題をより広い視点から分析し、
改善に向けて行動するきっかけを得られるのではないでしょうか。

読書は、読む、書く、伝える、反復する、話し合うがなされて初めて
本を読んだとなります。私のブログ「恩学」は思考のきっかけを作る
ために書いているので、読んだ、面白かったで、済まして欲しくないのです。
必ず誰かと話し合って欲しいのです。
音楽会も映画も読書も感動が残されているうちに第三者と話し合って
美意識や価値観、人々に与える影響などを共有して楽しんで欲しい。
そこから生まれる感情こそ知識への探求の旅が始まるのです。

我々は今混沌とした時代の中で歴史を振り返り現状の解決に挑まなければ
地球の寿命を速めることになります。
個人の幸福の追求はやめて地球再生の道を歩まなければ手遅れになります。
子供たちの未来を考える上でも必要不可欠な問題です。
動物の気持ちになって環境を考える。
今、私は動物かんきょう会議の一員として活動を始めています。

地獄を知った者こそが天国を思い描き作ることが出来ると信じています。