水槽

 

父と母が作る家庭と言う水槽がある。

その水槽の中で子供達が自由に泳ぐ。

 

それぞれの水槽の大きさの中で暮らしの営みがなされる。

しかし誰もが求めていたのは水槽の大きさではなく心の大きさだった。

 

父が怒れば水が濁る。

母が癇癪起こせば波が立つ。

そして子供は委縮して藻の中に隠れる。

 

どんどん水槽の中の空気が少なくなり息がしづらくなる。

 

父は水槽を大きくしようと必死になる。

母は見栄えを良くしようとして無理をする。

誰の為に何の為に大きく美しくする必要があるのか。

 

小さな水槽でも充分家族には休息が有った。

父と母は家庭を作る為の過程を忘れた。

 

他人を意識してから見栄えばかりを必要とした。

 

子供を守ると言いながら閉じ込めていた。

見えない敵から守るためにルールが多くなった。

 

限界を感じた子供達は水槽の外の世界に憧れて飛び出して行く。

残されたのは汚れた水槽の中に疲れ果てた父と母だけだった。

 

この水槽が誰の為の水槽だったのかが分からなくなる。