新しいドラマ

 

窮地に陥った経営者の方々から相談を受ける事が有ります。

ほとんどの方はただ救われたいという思いで来るのですが、
この様な場合において大切な事は、「救われたい」という逃げる感覚を持つことではないのです。
ここから、また始めるには、どのような方法が有るのかという、「挑戦の意識」が無くてはならないのです。

どのような解決の方法があったとしても、最大の敵は「後悔」と「諦め」なのです。
事業の失敗を後悔しながら諦めてしまうと救われる道が閉ざされてしまいます。

多くの水難事故では、諦めた時点で心臓が止まり死ぬ事になると言われています。
自分は決して死ぬ事は無いと強く意識した人は、
少しぐらい海水を飲んでも生き残るのだそうです。その強い信念が必要なのです。

人生の海で溺れた時にも「諦め」は最大の敵です。

私の経験を含め絶対に最後まで「諦め」ないで下さいと伝えます。

現在、デフレ不景気で沢山の経営者の方々が事業の行く手を阻まれています。
大企業は国や銀行から守られているので会社は簡単に倒産する事は有りません。
しかし誰からも守られていない中小企業の倒産は増加の一途を辿っています。

今後、確実に中小企業の経営者の自殺者も増えて行く事になるかと思います。

経営者にとって自力で立ちあげた会社が、目の前でつぶれるのはとても忍びないものです。
運転資金が無くなり社員にも給料が払えず、業者にも支払いが出来ず、
その上に銀行や金融機関から執拗な催促に追われて途方に暮れるのです。

挙句の果てには高金利のお金にまで手を出して身動きが取れなくなってしまいます。

高利貸しの追い込みは夜討ち朝駆けでやって来ます。
完全に追い詰められてボロボロになってしまいます。

家族にそんな姿を見られたくない為に、また借金の被害に合わせたく無い為にも、
離婚を余儀なくされてしまいます。

しかし本当に戦う気持ちがあるのならば離婚などしない方が良いのです。

世界でたった一つの大切な家族です。
家族に精神誠意を持って説明すれば理解してくれるのです。
カッコ良い時のお父さんもカッコ悪い時のお父さんもお父さんには違いないのです。

そして、ここから私のアドバイスが始まります。

私のアドバイスは、一度このドラマ(事業)を終わらせましょうです。
その為にセット(会社)を一度壊します。社長(主役)という役も降りて下さい。
観客(債権者)からはどのように思われても、情けないだとか恥ずかしいとは思わないで下さい。
自信を持って舞台から降りて下さい。

新しいドラマをもう一度作る気力があれば必ず神様は協力してくれます。
過去に囚われず明るい未来を築く意欲があれば復活のドラマは訪れます。

ネバーギブアップ!頑張って復活すれば迷惑を掛けた方々に恩返しもできるのです。
ここで諦めると再起のチャンスを全て失います。

私の話に理解が出来た経営者の方は、すぐに弁護士と話し合い全ての整理に入ります。
即、行動に移す方から再起が早く訪れるのです。

しかし、世間体を気にして倒産に躊躇し、更に借金に走る経営者の方は、
完全に再起の機会を失います。どうにかなるのではないかという楽観的な感覚が、
大きく傷口を広げてしまうのです。絶ち切る潔さが必要なのです。

そして、再起を決心して前向きになった経営者の方に暫くしてから言う言葉があります。
これはエールとして送る言葉です。「鋼は叩かれて名刀になる」。

社長、今迄多くの方から随分叩かれましたが感謝して下さい。
名刀というのは鋼(はがね)が何度も叩かれて出来上がるのです。
叩いたハンマー(あなたを追い詰めた人)は、決して名ハンマーにならず、
叩かれた鋼(あなた)は名刀になるのです。自信を持って下さい。

これからは何も恐れることは無いのです。一度の失敗で人生は終わりません。
どんな時にでも支えてくれた、家族と友人には「感謝」を忘れないでください。

そして失敗のドラマを忘れずに、新しいドラマにチャレンジする心を持つ事です。

新しいドラマでは無謀な企画を考えるのではなく、
誰もが楽しめるような堅実なストーリーを考えましょう。

そして身近な人達の感謝が大きな感動を作りだすようにしましょう。
私と社長は涙を流しながら固く握手を交わします。

本当のアドバイスは、逃げ方を教えるのでは無く戦い方を教えるべきなのです。