想いを伝える

 

相手に想いが伝わらないのは伝えようとしていないからだという文章を読みました。

心の扉を開けなければ伝わらない。一方的な情報では見向きもされない。
だからこちらの方へ眼を向けさせることをしなければならない。

相手の興味のある情報、相手に取って価値ある情報を提供しなければならない。
もっともな考え方である。

しかしこれが出来れば何も問題はないが、これが出来ないから悩むのである。
そして注意しなければならないのは、相手を意識するあまり「媚」をうってしまう事である。

「ヒットのツボ」という話の中で、ヒットを作るのには他人に媚びてはならない。
他人に受けようとする考えからはヒットが生まれないと書きました。

しかし消費者を意識しないでヒットを作ることはできません。

私の場合は送り手と受け手が共有の価値観を持てるかにポイントを絞っております。
近江商人の三方の教え「売り手よし・買い手よし・世間よし」が基本です。

ある意味プライドを持ってこちらの情報を提供します。
自信を持った商品ですから堂々と紹介すべきだと思います。

しかし、ここ近年送り手側が消費者に媚びた感じがしてなりません。
間違った下から目線で消費者が衝動買いしそうな(?)商品ばかりを一方的に提案しています。

壊れない商品、使い捨ての商品、セールス専用の商品を東南アジアで大量生産するのです。

単一商品の品質に拘るのではなく、大量消費を目的としているのです。
その結果、値引き競争が起こりどんどん価格が下がり自分達の首を絞めています。

簡単に言えば「プロの素人化」です。

常に素人目線で考えたつもりが、消費者は送り手側の意図的な「媚」に気付いてしまうのです。
このようなことが商品離れの原因を作ってしまっているのです。

プロがいたずらに素人と情報を共有してしまうと、プロが素人と同化しているということになるのです。

プロとしてネット上の情報を100%信じている人はいないと思いますが気を付けなければなりません。
ネット上の情報は三分の一が捏造された情報です。そして三分の一は既に終わってしまった情報です。
残り三分の一が欲しい情報のコアの部分です。

コアの情報とは興味のある人には必要な情報なのですが、
それ以外の人にとってはまったく価値のない情報です。

プロはコアの情報を探し求め分析して利用しなければなりません。
その手間暇がプロには必要なのです。

プロはお客様が予想もしなかった商品を開発するのが役目です。

基本的には消費者はプロの企画書や提案書が分からなくても良いのです。
そして途中段階の作業も何をしているか分からなくて良いのです。
完成した時点で初めて形を見せて驚かせるのがプロの仕事なのです。

映画やお芝居の世界と同じです。
難しい脚本や台本はスポンサーに分からなくてもよいのです。
文章からイメージできない人に熱く語っても仕方のない事です。

それよりも完成された作品をみて感動してもらえれば良いのです。

これは傲慢では無くプロとしての自覚の問題です。
クリエイティブの仕事はクリエィターが興奮した状態の中からでしか生まれることはありません。

それでも作り手とクラインとは情報をクローズするのではなく、
互いに情報をオープンにして慎重にやっていかなければならない時代です。

同じ方向に視線を向けて同じ目的を持たなければなりません。

みんなが理解出来る、みんなが知っている、だからリスクが少ないという考えからは、
決してクリエイティブな新商品は生れないのです。

売れる事よりも売ることに臆病になって慎重過ぎると現在の様に個性の無い商品が溢れてしまうのです。

ソニーが衰退した大きな原因は技術者の意見より株主の意見を多く取り入れたからです。
売り上げ重視に目を向けて消費者がワクワクするような商品開発を怠ったからだと思います。

犬型ロボットAIBOやプレステーションは作らなかった方が良かったのです。

物作りに「媚」が入れば必ずこのようになるのです。

そして相手に想いを伝える時に、一番気を付けなければならない事は、
相手の興味ある情報、価値有る情報を意識しすぎて、自分の本音が伝わらないことです。

断れることを恐れずに勇気を持って自分の本音を伝えて下さい。
それが相手の心の扉を開くことになるのです。

私はいまも現役で仕事をしております。
自分が正しいという想いを音楽で表現するだけです。

現在、世の中が大変な状況のなかでワクワクしております。
何故ならばこんな世の中だから良き音楽が必要とされるからです。

いまも音楽を通して想いを伝えている真最中です。