幸福のアート
以前、学生からアートは人生に絶対必要ですかと聞かれたことがある。
その時に私が言った言葉は「絶対必要です」と回答した。
そして黒板に五つのスペルを書いた。
Earth(地球)我々の地球上には
Heart(思い)いろいろな人の思いが重なり
Smart(賢い)賢くなり集う
Party(集まり)様々な人たちと交流が始まり
Start(出発)ともに船出を楽しむ
この英語のスペルの中にはすべてARTの文字が入っています。
我々が生きて仕事をして生活をして暮らしていく中に
アートは無くてはならないのです。と答えた。
その時に巡り合えた文章があります。
他人の期待に応えることをやめるがいい!
それはあなたが自殺することになり得る唯一のやり方だからだ。
あなたは誰かの期待に応えるためにここにいるわけではない。
そして他の誰もあなたの期待に応えるためにここにいるわけではない。
決して他人の期待の犠牲になってはいけない。
そして誰もあなたの期待の犠牲にしてはいけない。
これが、私が個人性と呼ぶものだ。あなた自身の個人性を尊重し、
他人の個人性を尊重するがいい。決して誰かの生を干渉してはならないし、
誰にもあなたの生を干渉させてはならない。
そうして初めて、いつかあなたは精神性の中へと成長することができる。
さもなければ、99パーセントの人びとは、ただ自殺するだけだ。
彼らの生全体は、緩慢な自殺以外の何ものでもない。この期待、
あの期待に、応え続ける……ある日は父親の、ある日は母親の、
ある日は妻の、夫の期待に応え続け、そして子どもが生まれ、
彼らもまた期待する。
それから社会、聖職者と政治家。まわり中の誰もが期待している。
そしてかわいそうなあなたがいる、ただかわいそうな人間が――全世界が
あなたに、これをやるように、あれをやるようにと期待している。
そしてあなたは彼らの期待すべてに応えることはできない、
なぜならそれらは相反しているからだ。
あらゆる人の期待に応えようとして、あなたはおかしくなってしまった。
そしてあなたは、誰の期待にも応えなかった。誰も幸せではない。
あなたは道に迷い、疲れきってしまい、そして誰ひとり幸せではない。
自分自身と共にいて幸せでない人びとは、幸せになり得ない。
あなたが何をしても、彼らはあなたに不満を感じる方法を見つける。
なぜなら彼らが、幸せでいることができないからだ。
幸福とは、人が学ばなければならないアートだ。それは、あなたが何をやるか、
やらないかには関係がない。人を喜ばせる代わりに、幸福のアートを学ぶがいい。
ここでいうアートは芸術のアートではなく、自分自身の人生計画を
どれほど美しく完成させられるかという事である。
心が満足しなければ美しさの完成はあり得ない。他からくる抑圧も精神的圧迫も
拒否できない立場なら中途半端にキャンバスに向かうのではなく、
一旦絵筆を置き白紙に戻すことは出来るだろうか?
人は追い詰められた時に一番美しくなることを知っているだろうか?
幸福な時よりも姿かたちに声に緊張の張りが出て来る。
獲物が敵から追い詰められた時にその緊張から来る研ぎ澄まされた状況の時に
一番美しさが滲み出て来る。
この文章に共感して心に火が付いた。
私の人生も子供の頃に描いた人生計画がアートそのものであるからである。
この不幸を幸福に持っていく道筋を素敵な物語にするために時間を費やした。
哀しければ悲しいほどに物語はドラマチックになった。
転校先でいじめられた時にも、高校で担任の教師と喧嘩した時にも、
工業高校から外大に入った時にも、工事現場で働いて英国へ行った時にも、
帰国して一流のレコード会社へ入った時にも、プロデューサーとして活躍した時にも、
自分の物語が完成していくのを興奮して見守った。
哀しいというのはどういうことなのだろうか?
苦しいとはどういうことなのだろうか?
嬉しいというのはどういうことなのだろうか?
楽になるとはどういうことなのだろうか?
人は心の中のスイッチを切り替えることだけで、気持ちが切り替わり
価値観が切り替わり、幸福のイメージを作り変えることが出来る。
まるでキャンバスに向かって絵筆を振るい、色を塗ることにより、
景色全体がカラフルになり、悲しいことが嬉しいことに、切ないことが喜びに、
辛いことが幸福に生まれ変わらせることが出来るのである。
音楽プロデューサーは目の前の現象をアートのようにとらえて作品作りをする。
失恋した状況を悲しいと表現するのではなく、希望の第一歩として明るく表現
することもしなければならない。人の気づきは一瞬のメロディーでも、
一つの言葉でも刺激を受けて覚醒するのです。
それぞれの多種多様な精神世界を描き出すことによりヒット作品が生まれるのです。
あなたの今の人生を塗り替えることが出来るのはあなたしかいないのです。
他人の描く期待に一切応える必要は無いのです。
人生をアートで捉えると心に翼が生えたように自由になれるのです。
私は今もなお人生計画の続編を書き続けています。