科学の罪




「オッペンハイマー」

人間は本当に急激な進歩・進化を望んでいるのか疑わしい。
神から錬金術を受け継いできた人間の罠に陥っているだけかも知れない。
進化はあらゆるものを犠牲にして罪を作るが、その恩恵は誰にでも平等では無い。
映画「オッペンハイマー」を観てつくづく考えさせられました。

この時期(ウクライナ、イスラエル戦争)に、この映画を制作したのは
アメリカが世界に向けて牽制のために作ったのか、きな臭さが感じられる。
アメリカは原爆を日本へ投下した経験を持つ唯一の国である。

科学者の解く疑問は必要のないパンドラの箱を開けることになる。
その必要のない箱を利用する権力者たちは末代まで地獄に落ちる。
権力の上位に居続けることは誰よりも強い武器を持たなければならない。

日本は原爆開発者の試し撃ちで二発の原爆を落とされた。
広島は原爆の威力を確かめるために、長崎は二度と戦争に立ち上がれないように
見せしめのために行われた。その結果罪のない市民が「1945年8月の広島、
長崎への原爆投下では、広島で約14万人、長崎で約7万4千人が45年末までに
死亡したとされる。 子どもたちはどんな被害を受けたのか。
広島市のこれまでの調査では、0~9歳の7万3622人が被爆した。
2022/08/09発表」

PROMETHEUS STOLE FIRE FROM THE GODS AND GAVE IT TO MAN.
(プロメテウスは神々の炎を盗み人間に与えた)
FOR THIS HE WAS CHAINED TO A ROCK AND TORTURED FOR ETERNITY.
(この行為により彼は岩に繋がれて、永遠に罰せられた)

映画の見方
オッペンハイマー視点のカラー部分をFISSION(核分裂)、
ストローズ視点のモノクロ部分をFUSION(核融合)と
タイトルをつけているのもオシャレで格好良いですね。
深い意味がありそうで、実は無さそうで、でも一周回ってやっぱり
ありそうな雰囲気がいかにも監督ノーラン的です。

映画のあらすじ
1920年代。学生時代から理屈ではなくて感覚で量子世界の真理が見えていた
若き天才科学者オッペンハイマーは、ヨーロッパで大学を渡り歩き
ボーア(演ケネス・ブラナー)やハイゼンベルク(演マティアス・
シュヴァイクホファー)など当時の最高の物理学者たちから学び、
互いに影響しあって量子力学研究の第一人者になっていく。
またこの時期に、同じ米国人物理学者として生涯にわたって支えてくれる友人、
イジドール・ラービ(演デヴィッド・クラムホルツ)とも出会う。

原爆開発と投下
1945年10月。功績が認められてトルーマン大統領(シークレットゲスト!)
と面会したオッペンハイマーは弱気な発言を繰り返し、ロス・アラモスを閉鎖して
土地を原住民に返却しますとまで言い放ち大統領の不評を買ってしまう。
更にダメ押しで「手に血がついた気持ちです」と心境を吐露するも、
大統領から「被曝者は開発者のことなど考えもしない、恨まれるのは落とすと
決めた私だ」と啖呵を切られて、そのまま面会はバッサリ中断されるのだった。

1947年。オッペンハイマーがストローズと初対面した日。庭の池で遊ぶ
アインシュタインに近づくオッペンハイマー。アインシュタインは
旧友を笑顔で歓迎する。しかしアインシュタインは続けて、オッペンハイマーが
原爆という大量殺戮兵器を作ったコンセクエンス(決着)を受けるべきだと凄む。
「そして、いつか人々は君を十分に罰したと思ったら、もう許した証として
君を表彰するだろう。でも忘れるな。その栄誉は君の為ではない。
自分たちが君を罰したことを君に許させるための物なのだ。」

それだけ言って去ろうとしたアインシュタインを引き止めてオッペンハイマーが
話しかける。「いつか地球を燃やし尽くす核爆発の連鎖反応の話をしたでしょう、
あれですけどね、成功したと思います。」ドン引きするアインシュタイン。
言葉を失い、意識も朦朧として歩いて行く。だからストローズが話しかけても
無視してしまったのだ。(それを猜疑心からストローズが勝手に誤解していただけで)

以上、割愛したストーリーです。あとは自分自身の目で確かめてください。

どのような理由でも自分達の実験のために
多くの罪のない人々を殺した罪は大きい。
日本は敗戦を認めても原爆投下には断固反対すべきであった。
日本だけが世界に向かって原爆反対を叫べる国であることを
証明しなければなりません。

現在計画中のガザ地区の子供達を救う平和活動は
愛の武器を持って向かいます。
その為に一切の武器を持たずに戦地に向かうのです。
罪もなく親を亡くした子供達を日本の里親制度で守り、
成人になれば日本に留まるかパレスチナに戻るかを
決めさせれば良いと思います。

しかし日本政府が許可するか、日本の里親制度が機能するか、
乗り越えなければならない問題が山ほどある。
すでに一部の自衛隊隊員の中に賛成している者がいる。

戦火の中で親を亡くして苦しむ子供達を見過ごしてはならない。

映画の中でストローズが「人々は太陽に集まるが権力はシャドーに隠れる」
と言った言葉が全てを物語っています。
そしてもう一つの言葉は攻撃責任者の言葉「原爆投下の候補地から京都は外せ。
以前家内と行ったことがあるが素敵な街だから攻撃の候補地から除外しろ」
こんな理由から原爆投下の候補地を選んでいたかと思うと
広島と長崎の人たちは悔しくて・悔しくて怒りが収まらなくなるだろう。

科学者たちの開発は戦争を止めることになったとしても、
多くの罪の無い市民を虐殺したことには変わりがない。

科学の罪を考えることのできる秀逸な映画作品です。