主人公




「私」ばかりで会話を始めると相手は聞くだけになる。
「あなた」と問い掛ければ相手は話しやすくなる。

自分本位で暮らしていると周りの人が無関心になる。
他人本位で生きていると周りの人の笑顔が集まる。

短くてささやかな人生でも自分1人の人生である。
そして誰しもがその物語の中では主人公なのです。

私とあなたが出会えば悦びが始まるが同時に悲しみも共有する。
あなたはあなたで生きてきた人生がある。

あなたが望むことを誰にも伝えられずに我慢してきたことも、
時が移れば楽しい思い出となる。

社会に出て一人暮らしが始まり、人恋しくなり、会話の相手を探す。
学校や会社で知り合った人との交際が始まる。

二人の間に好きという感情が芽生えて物語はいつか静かに終わりを迎える。

会話の中に「私」が増えるとわがままな要求が増えて「あなた」が遠ざかる。
「あなた」を入れず自分中心の物語に、他人は関心がないことを知るべきです。

プロ野球選手の田尾安志さんが引退後に記念CDを出したいと依頼があった。
歌自慢の彼がカラオケで得意な曲がさだまさしの「主人公」だった。
さだまさしさんも快く「良いですよ」と返事をいただいたのでレコーディングをした。

主人公

「或いは」「もしも」だなんて
あなたは嫌ったけど

時を遡る切符があれば
欲しくなる時がある

あそこの別れ道で選びなおせるならって
勿論 今の私を悲しむつもりはない

確かに自分で選んだ以上精一杯生きる
そうでなきゃあなたにとても
とてもはずかしいから

あなたは教えてくれた 小さな物語でも
自分の人生の中では誰もがみな主人公

時折思い出の中で
あなたは支えてください

私の人生の中では
私が主人公だと

この録音の時にさだまさしさんと一緒に青森へ行きました。
高木恭造さん(日本の方言詩人(津軽弁))へナレーションのお願いです。
さだまさしさんのリクエストだったのですが、
「主人公」のCDにナレーションを入れたかは記憶が定かでない。笑い
B面かもしれない。(昔は代表曲がA面で補助曲がB面で表示しました)

女性は一生のうちに何回も呼び名が変わると言います。
結婚前の名前、結婚後の名前、何々ちゃんのお母さん、夫からのお前です。
親から頂いた名前は子供が生まれると同時に消えてしまいます。
そして独身の時に描いた物語はクローゼットの奥深くへしまい込んで忘れてしまいます。

その分、叶わなかったロマンスを韓流ドラマやジャニーズに求めるのでしょうか。

いつまでもあなたが「主人公」のままで良いのですよ。
年齢を重ねても「夢見る少女」のままでいてください。
全ての出会いに「恩」を感じてお過ごしください。