あとからくる者のために

 

「あとからくる者のために、

苦労するのだ、我慢するのだ、

田を耕し、種を用意しておくのだ。

あとからくる者のために、

しんみんよ、お前は詩を書いておくのだ。

山を川を海を、きれいにしておくのだ。

ああ、あとからくる者のために、

みんなそれぞれの力を傾けるのだ。

あとからあとから続いてくる、

あの可愛い者たちのために、

未来を受け継ぐ者たちのために、

みな夫々自分でできる

何かをしておくのだ。

詩人坂村真民「詩国」より

我々は未来を受け継ぐ者たちのために何かをしなければならない。
みな夫々自分でできる何かをしておかなければならない。

たとえ生きることに精一杯であっても、
あとからくる者のために残し伝えて行かなければならないことがある。

この国が過ごして来た証しを、心で、形で、物で伝承しなければならない。
あらゆる歴史はその様にして同じ行為の中で繰り返し今日に至っている。

それぞれが自己満足な欲を追求するためだけでは人が国が滅びてしまう。
使命感を持ち国の繁栄をあとからくる者たちのために伝えていかなければならない。

未来を受け継ぐ者たちのために必ず教えなければならないことがある。

先ずは国の成り立ち(歴史)、日本の位置(地理)、人として生きる修身(道徳)である。

この国独特の美意識・職人の技・きめ細やかな表現などの感性と感覚である。

敗戦の中から何度も苦難を乗り越え復興を遂げて来た民族の誇りである。

八百万の神々に守られ人を思いやる行為や行動の言葉たちである。

あとからくる者のために安易な道筋を作るのではなく立ち向かう勇気を教えるのである。

世界から見た我が国の現状を伝え乗り越える技術を教えるべきである。

家族を地域社会を国家を形成する基本的な思考を教えるのである。

年配者よ!楽な隠居など考えるな!

今こそ立ちあがれ。若者達に絶望的な負の遺産を残すな。

あとからくる者たちのためにあらゆる財産を譲る覚悟を決めろ。
あとからくる者たちの幸福を考えて生きるのだ。

それが人生の先輩としての使命だ。