これだけ
「これだけ」
これだけ「あなたのために」だと辛くなる。
これだけ「あいしているのに」だと重くなる。
これだけ「やってあげたのに」だと怒りになる。
これだけ「がまんしたのに」だと愚痴が出る。
これだけ「きいてあげたのに」だと負担になる。
これだけ「つきあっているのに」だと煩わしくなる。
これだけ「ぎせいにしたのに」だと窮屈になる。
これだけ「まもってあげたのに」だと憂欝になる。
これだけ「おもっているのに」だと面倒になる。
これだけ「つくしているのに」だと逃げ出したくなる。
これだけの言葉が無ければ、どれほど感謝したか分からない。
これだけ、これだけ、これだけを言わなければ、「ありがとう」が言えたのに。
人は期待される事を一方的に要求されると反抗的になる。
人は自分の想いを相手の気持ちを考えずに伝えることがおおい。
やってあげたのだからこうしてほしいは逆に相手の気持ちを頑なにしてしまう。
自分の行為に見返りを求めると響く行為も響かなくなる。
あなたの純粋な想いが一つの音としたら潔癖で清廉でなければならない。
心が清くて私欲の無い音は頑な心を溶かす力とエネルギーを持っている。
素直になり無心の優しさがなければ相手の心は固いままである。
音は柔らかな壁には吸い込まれるが固い壁には跳ね返ってくる。
人の心も軟らかい時には素直に聞き入れられるが固い時には拒否される。
自分の行為に見返りを求めるとそこから信頼と愛は生まれて来ない。
あなたの気持ちを適量な音量と音質で包み込まなければ想いは伝わらないのである。
あなたのこれだけはただの我儘な要求である。
相手の中に幸福のイメージを作ることが出来なければ笑顔は生まれないのである。
相手を束縛と拘束で縛るのは人間関係においてやってはいけない行為である。
美しいメロディーには美しいポエムが必要であるように、
美しい行為には美しい心が必要である。