落ち着く
人には浮き沈みがある
大きく浮いた人ほど沈むときには深く沈む
少し浮いたら有頂天になり
少し沈んだら絶望的になる
中途半端に救いを求めりゃ
別な悩みで引っかかる
不幸に尺度は見つからない
不幸の大きさなんて計りようが無いから
幸福に尺度が見つからない
幸福の大きさなんて比べようが無いから
中途半端にもがいていると
なかなか底に落ちていかない
落ちるならとことん落ちる
落ちて底に着いたらそれが「落ち着く」さ
落ち着いたら冷静になる
冷静になるから智慧が湧く
智慧が湧くから勇気も起こる
勇気が起こりゃまた浮かび始める
恥をかけなきゃ半人前
保身に走ればみっともない
繕う人ほど浅ましい
虚勢を張れば最悪だ
落ちるならとことん落ちろ
落ちるならとことん落ちろ
佐賀県鍋島藩山本常朝
「葉隠」の中の曲者列伝にこのような事が書かれている
ある山中を座頭が十人ほど連れ立って通っていたとき崖にさしかかり、
全員が恐怖に足ふるえ肝が冷えてすくんでいた。
そのとき先頭の座頭が足を踏みはずし崖から落ちた。
残された者たちはこれで一歩も動けなくなった。
すると崖の下から先に落ちた座頭の声が聞こえてきた。
「気遣ひめさるな。落ちたれども、何の事もなし。中々心安きもの也。
落ちぬ間は大事と思ひ、落ちたらば何とすべきかと思ひしゆへ、
気遣ひ限りなかりしが、今は落着たり。
各(おのおの)も心安成度(こころやすくなりたく)ば早く落られよ。」
生死の関頭にあって死の選択が生を可能にし、
「死の覚悟」が「見事な生」につながる象徴的事例である。
現状の不安を取り除くには守るのではなく、
捨てさる方が解決の道があるのかもしれません。
一歩飛び込む勇気です。
そこからうまれる落ち着きに期待をしたいものです。