あっさりと見放す
人との縁は良縁と薄縁がある。
長いお付き合いが大切だと言われるが執着する必要は無い。
できれば自分の意に添わない人間との関係は早めに終わった方が良い。
縁とはタイミングなのである。出会うべき時に出会う人が良縁で、
出会う必要がない時に出会う人はなるべく薄縁で終わらせた方が良い。
私のプロデュース法の基本は信頼と可能性である。
アーティストが頼ってくれば必死になって応援するが、
売れて反論が多くなれば担当から外ずれる。
例えばプロデューサーは象使いである。
相手が獰猛な象のままでは一生訓練だけで終わることがあり、
従順な象であればつねに晴れの舞台を用意することもできる。
象が主役でプロデューサーは誘導する人である。
この誘導の仕方で売れるかが決まる。
誘導とは共有の価値観と信頼がなければ務まらない。
アメリカのキング・オブ・ロック、エルビス・プレスリーと
プロモーター、パーカー大佐の関係を見ると分かる。
大佐はプレスリーの人気を商売道具として売り込み大儲けをした。
当初より音楽にはあまり興味が無くプレスリーの注目度に目を付けただけである。
しかし、当時のアメリカ(ロックに対して批判的)では、彼の存在が無ければ
エルビス・プレスリーがあれほどまでの人気は得られなかった。
白人社会では黒人の匂いのするR&B風ロックンロールは、自分たちが信じる
神への冒涜だと世の中に出ていくことを猛烈に反対したのである。
その為にプレスリーの母親は熱心な信者なのに教会への出入りを禁止された。
プレスリーに対して様々な妨害の中でコンサート会場の貸し出しも
禁止にしたのである。
私はヒットを出すためのプロのプロデューサーであったから、
常に売れることを目的として活動した。
新人を売り込むために放送局や雑誌社や有線放送やレコード店に
日参しました。代理店へタイアップの依頼もしてCMを取り付けもしたのです。
そして最後はテレビ局へ行って人気歌番組への出演もブッキングしました。
私の口癖は世の中の音楽には「好きな音楽」「良い音楽」「売れる音楽」の
3通りしかない。
偶然でヒットを出す人もいるがそんなタイプは一発屋で終わる。
ヒットが長く続かないのはプロデューサー不在のアーティストに多い。
必ずアーティストの面接の時に聞く言葉として上記の3点を言い、
「君たちはどの音楽がやりたいのか」決めてください。
そして「売れる音楽」と答えた人とだけ仕事をしたのです。
私のプロデューサー理論。
3流のプロデューサーは業界のルールと礼儀作法を教える、
2流のプロデューサーは現在売れている人の真似をさせる、
1流のプロデューサーはアーティストの才能を引き出す。
アーティストの才能の種を見つけても育てなければ意味がない。
そして良い作物に育てても市場に出さなければならない。
市場に出しても高値で売れなければ意味が無い。
どんなに良品であっても世間の市場価値を知らなければ売れ残ってしまう。
ビートルズのプロデューサー、ブライアン・エプスタインも
彼らの才能を認めつつ、髪形を変えて、服装を変えて、言葉使いを変えさせた。
メジャーになるには才能だけでなく印象にも注意を払わなければならない。
それに見事にこたえたビートルズのメンバーも売れることを望んだのです。
反骨のロックをファッションとして売り出した天才的なプロデューサーである。
私のお手本になった人です。
新人アーティストは売れていない時にはプロデューサーに従順であるが、
売れるとプロデューサーに対して反抗的な態度が現れる。
その為にエンタテインメントの世界では長期契約で縛ることが多い。
私は約3年をめどとして作業に取り掛かることがほとんどでした。
デビュー前は毎日未来の成功話で花が咲いた。
少し売れ出すとお互いの連絡の頻度が少なくなる。
アーティスト側から取材やコンサートや個人的な悩みの相談も無くなる。
どんな時にも夢を語らくなったアーティストは輝きが薄れていった。
そんな空気が伝わるとプロデューサーのスイッチもオフになる。
プロデューサーの仕事は、表向きは華やかで楽な仕事のようにとられる。
しかし、一人のアーティストを売り出すためには苦労の連続である。
代理店や放送局や出版社にどれほど頭を下げたか分からない。
音楽評論家からも悪口を好き放題書かれたこともある。
でも、そんなことよりもアーティストの新曲を心待ちにしている
ファンの事を考えると泥水も平気で浴びることができた。
普通の人に言いたいのはもっと「ドライに生きる」ことです。
その為に、
お人好しにならなくていい
いちいち反応しなくていい
よかれと思って動き過ぎない
やたらと笑顔を振りまかない
むやみに関わらない
必要以上に話さない
やみくもに心を注がない
いたずらに口を挟まない
わざわざご機嫌をとらない
無理に答えを出さない
社会に馴染もうとして無理をする。
会社に馴染もうとして周りに合わせる。
人間関係に馴染もうとして無口になる。
そんなことしなくても良いんだよ。
自分のペースで少しずつ慣れればそれで十分さ。
くだらない仲間や理不尽な社会に合わせる必要はない。
他人から自分らしさを笑われても気にしないこと。
ただ人を思いやる気持ちは失わないようにしなさい。
お金に執着しないようにしなさい。
ささやかな喜びを積み重ねて幸せになりなさい。
人生は自分磨きの連続です。
しっかりと磨いてくださいね。