指揮者になれ




AI時代に対抗するにはAIに従うのでは無く従わせるのだ。
AIの最大の特徴は質問者の答えを素早く回答する事だ。

俳句を楽しんだ事はあるだろうか?
五七五の十七文字でその場の情景を書き込む。
基本は季語を取り入れて自分の思いをスケッチする。
上手な人と下手な人の違いは言葉選びと感情の乗せ方である。
普段は室内で行う俳句の会と時折名所旧跡を訪ねる吟行がある。
私は吟行が得意で景色を見るだけで素敵な句を書くことが出来た。
たった2~3文字で世界観がガラリと変わるのである。

AIは質問者の内容次第では全く違う回答が届くことになる。
質問の要点を簡潔にまた核心をついてなければ意味をなさない。

オーケストラの指揮者も同じようなものである。
作品の楽譜を見て、作品の意図や作曲家が書いた背景、時代など
学ばなければいけません。
そして、指揮者自身が思い描いた理想の音を演奏するオーケストラに
伝えるのも簡単なことではなく、細い指示を出して作品を作り上げていきます。
楽器ごとにテンポや音量、表現の仕方までこだわり、オーケストラを
まとめていく指揮者は非常に重要な人物です。

名指揮者というのは、演奏家たちの能力を引き出し、まとめ、そろえて、
自分の思い描いた理想の音楽をつくりあげます。
ですので、ただ音楽の知識がある、
音楽の才能があるだけではいけません。
信頼することができる常人以上の人間力が求められます。

お分かりになりますか?
一般知識いわゆる常識で質問するとAIも一般常識で回答します。
広く浅く聞いても核心に触れる内容で無ければ
本来求める回答にはならないということです。
同じメーカーのパソコンでも使う人によっては宝の山かゴミの川です。
ゴミの川にならないように注意しましょう。

例えば「指揮者になれ」を違う角度で添削するとこうなります。
集団の中の指導者も同じようなものである。
何を目的として人々を導くのかが明確に分からなければ前に進めません。
問題の元を見て、解決の方法を探り、起こった背景、原因など
探らなければなりません。
そして、指導者自身が思い描いた理想の領域をスタッフたちへ
伝えるのも簡単なことではなく、細い指示を出して理想を作り上げていきます。
各人の能力ごとに働き方や仕事にこだわり、あらゆる集団(グループ)を
まとめていく指導者は非常に重要な人物です。

名指導者というのは、人々の能力を引き出し、まとめ、導き、与えて
自分の思い描いた理想の世界をつくりあげます。
ですので、ただビジネスの知識がある、統率の能力があるだけではいけません。
信頼することができる常人以上の人間力が求められます。

目の前の問題をAIに質問するとその問題の解決方法を教えてくれます。
そして、人間の想像力で未来のあるべき姿を質問すると、
現状のデーターの中からあらゆる可能性を導き出してくれます。
更にAIの凄いところは答えを限定しません。
何回かのやり取りの中で質問を進化させる能力があることです。

たとえば料理のレシピを教えてくださいと入力すれば、
手元にはどんな材料がありますかと聞いてきます。
しかしもっと具体的にワインに合う料理のレシピと打ち込めば、
より具体的な内容で瞬時に教えてくれます。
料理を作る場所が自宅なのか友人宅なのかアウトドアなのかも
重要なファクターになります。
なるべく具体的な情報を入力すると母親のように細かく教えてくれます。

AIに頼るばかりでなく解答の求める領域の質問力も重要です。
そして何よりも咀嚼力0→1でなく考える能力が必要になります。
質問力を養うのは想像力が必要です。想像力は好奇心です。
目の前の景色と音と臭いを組み立てる能力があれば全てが可能になります。

もう一つは言葉や文字に敏感になり真偽を確かめることも重要ですが、
物語を作り出すストーリーテラーの能力も必要です。
自分なりのあるべき姿のストーリーを創り出すのです。

例えば最近この文章を見つけました。
1972年に一週間に渡ってアメリカで放映された人気番組
「マイク・ダグラス・ショー」を、今の視点で振り返り再構成したもの。
私もこの番組について部分的には知っていたが、これだけまとまった
フィルムを見るのは初めて。ここでのジョンレノンはいつになく饒舌だ。
時には司会のマイク・ダグラスよりも番組全体を引っ張っている。
憧れのチャック・ベリーに初めて逢った感激もあったのだろう。
ジョンはチャック・ベリーについて「50年代チャックの詞は知的で
社会的なメッセージが内包されていた。驚くほど優れた韻律で
ボブ・ディランや僕に大きな影響を与えた」と語る。
そして「ロックンロールの別名はチャック・ベリーだ」とも。

音楽に興味のない人には全く意味がわからないと思いますが、
音楽ファンなら分かる内容です。ここに登場する名前は全て伝説の人です。
私は現在51歳のロックアーティストをプロデュースしています。
一般常識で言うと年齢も高く知名度もないアーティストのプロデュースは
誰も行いません。しかし彼の才能は必ず時代が求めていると信じているから
全力で取り掛かっているのです。良い音楽に年齢は関係ありません。

今まで伝説のアーティストたちは世間から批判された人たちばかりです。
しかしその人たちがいたから今の音楽シーンが生まれたのです。
無理だと言う人たちの言葉に従っていれば時代は変わらないのです。
昔だからと笑う人もいるけれどイノベーターの役割は変わりません。

大切なことは何を目的として何の為の行動かと言うことを
知らなければなりません。それに必要な知識と能力は何かを探り、
その為に必要な人・物・金を割り出すのです。
これらをAIに質問するとどうゆう答えが出てくるのでしょう。
私は専門家ですのでだいたい分かります。

これからは常に指揮者の目線で考えることが必要です。
オーケストラの大半がAIになっても指揮者は1人です。
楽しい場面は作れたとしても心を震わす感動の場面は、
人間にしか作れないのです。
AIの時代には誰しもが指揮者になる訓練を受けるべきです。