音楽で革命




音楽は時代の中の文化と経済の推進力としてまた潤滑油としての存在がある。
素晴らしい楽曲は多くの政治家や科学者にも多大なる影響を与えてきた。
そして一般大衆の政府に対する不満や怒りに対しても同調したり慰めたりもした。
しかし時には戦いに出向く兵士の士気を鼓舞する役目も果たしてきた。
音楽は現実を見つめる目であり理想に心躍らせる鎖でもある。

「音楽で革命の成功はない」と言い切る大学教授がいる。
「Wood stock」も「We are the World」も何も成果を残していない。
音楽からは何も革命は起こらないと言い切る。
自身もロックを愛好しているというのに不思議な発言である。
この教授は木を見て森を見ずの唐変木である。

革命は武器を持って戦うだけではない。
武器を持たずして楽器を持って戦うこともできる。
人々に愛国の精神と立ち上がる勇気を与えることも
音楽の大きな成果として認めるべきである。

ジャマイカで起こったレゲエ(音楽)革命。
1978年、ボブ・マリーはジャマイカに帰国し4月22日にキングストンで
「ワン・ラブ・ピース・コンサート」に出演する。そして「Jamming」の演奏中、
マリーはコンサートを見に来ていたマイケル・マンリーとエドワード・シアガの
二大政党の党首をステージに上に招き、和解の握手を結ばせて争いを収めた。
政党間の争いが市民活動にまで飛び火して殺人事件が頻繁に起こっていた。
ボブ・マリーも銃弾に倒れて瀕死の重傷を負いながらのステージに上がった。
後に、コンサートに出演した理由を尋ねられた時に「この世界を悪くさせようと
している奴らは休みなんか取っちゃいない。それなのに僕が休むなんてことが
出来るかい?」と語った。

岐阜県中津川で起こったフォーク(文化)革命。
1968年日本では岐阜県で開催された中津川フォークジャンボリーは
地元の青年団が企画運営をして3年間やり続けた。
それを起点としてメッセージ・ソングという新ジャンルが生み出された。
若者たちが自由に音楽でメッセージを出せる時代へと変えたのである。
そこから多くのフォークシンガーが誕生して全盛期を迎えた。

彼らは一様にマスメディアに出演することを嫌い、コンサート活動を中心に
動いていた。売れないことを美化して、売れると歌手を批判する気風があった。
その中で吉田拓郎が口火を切ってヒット曲を出と、井上陽水も泉谷しげるも財津和夫
なども参加してきた。一気に若者たちの心をつかみブームが起こったのである。
ようやくマイナーなジャンルが市民権を得たのである。

ヒット曲は単に金儲けではなくヒット曲がメディアに取り上げられると、
音楽にあまり関心もない大勢の人が耳にすることになる。
それまで支流だった演歌や歌謡曲と肩を並べてレコード店に置かれ、
そこから一気に音楽業界の流れが変わりニューミュージックという
ジャンルにまで発展していった。

世界は何で構成されているかを考えた時に権力と財力と知力を持った
人間が自由経済という名目で思うように動かしている。
メイスンファミリー・ロスチャイルド・カーネギーなどである。
大衆は彼らの掌の中でもてあそばれているだけで、
いくら働いても彼らが儲かる仕組みになっている。
せめて娯楽でも無ければ貧困層や若者たちから暴動が起きる。

英国ではリバプールからデビューしたビートルズが世界中を音楽で
巻き込み若者たちの意識を変えていった。
ビートルズは”ビートルマニア”と呼ばれるファンの一大現象を引き起こした。
彼らは1960年代前半に多くのファンを獲得したが、ビートルズは可能性の
世界を切り開き、お金と時間に余裕のある10代のファンたちを元気づけた。

1960年代のカウンター・カルチャーについて論じたティモシー・リアリーは
ビートルズが「陽気で自由な若者という新たな人種を生み出すほどの不可思議な
力を持っていた」と語っている。

そうしたファンのひとりにスティングがいた。彼が13歳の誕生日を迎えた
1964年10月2日、アメリカを席巻したばかりのビートルズは『Shindig!』
というテレビの特別番組の撮影をしていた。「ビートルズは僕の少年期を形成したんです。
教育のようなものでした」とスティングは話す。
「彼らは非常に似たバックグラウンドをもつ。イングランドの工業地帯、労働者階級
の生まれです。彼らは自分で曲を書いて、世界を征服した。
それが、彼らを真似ようとする多くのイギリスの少年たちの青写真になったんです」。

ビートルマニアの現象は世界中に広がり、キューバのミサイル危機の混乱
冷めやらぬ冷戦期にもかかわらず、共産圏諸国の若者の間での西洋文化への
見方を変えることにも繋がった。

有力な社会歴史学者のアーサー・マーウィックは、ビートルズが
”All You Need Is Love / 愛こそはすべて”というメッセージを発信することで
若者たちの行動原理を変え、”自己表現の権利の小さなルネッサンス=復興運動”
を先導したと論じている。

反戦運動や平和を歌ったジョン・レノンの作品「Imagine」は、50年経った
今でも変わらない意味を持っている。「私が信じている総論はこうです。
自分が13歳の誕生日を迎えたとき、国民はジョン・F・ケネディの暗殺で
深い憂鬱に沈んでいた。みんなが、気が晴れるような何かを必死に探しているときに、
ビートルズが現れたんです」。

リトル・スティーヴンはそう語る。「ビートルズが何より先に曲の中で
伝えたことは、抑えられない喜びだと忘れてはいけません」。

私の持論としては音楽で革命は何度も起こっている。
カリスマ性を持ったスターの楽曲は時代を震わせ、若者たちの行動を変えて
文化を形成するのです。兵士の中にいる若者たちも戦いから平和は作れない
ことに目覚めて武器を置く者もいるのです。

日本の年配のスターたちが社会に影響を与えるような楽曲が作れないのが
残念で成りません。いつまでもLOVE SONGSを歌う神経が分かりません。
お金持ちになると世の中の現状を見ないようにしているのでしょうか。
今、世界は!日本は!大変な状況ですよ。

同年代を生きて来た音楽プロデューサーの独り言です。
世界のアーティストへ音楽の持つ魂だけは忘れないで欲しい。
音楽で革命は起こるのです。