塞翁が馬

新年明けましておめでとうございます。

本年は午年です。
皆様が天馬の如く飛躍する年になりますようお祈り申し上げます。

「人間万事塞翁が馬」(じんかん、ばんじ、さいおう、がうま)

城塞に住む老人の馬がもたらした運命は、福から禍(わざわい)へ、
また禍(わざわい)から福へと人生に変化をもたらした。
まったく禍福というのは予測できないものである。

これを詳しく説明すると、

中国の北の方に占い上手な老人が住んでいました。
さらに北には胡という異民族が住んでおり、国境には城塞がありました。

ある時、その老人の馬が北の胡の国の方角に逃げていってしまいました。

この辺の北の地方の馬は良い馬が多く、高く売れるので近所の人々は、
気の毒がって老人をなぐさめに行きました。

ところが老人は残念がっている様子もなく言いました。

「このことが幸福にならないとも限らないよ。」

そしてしばらく経ったある日、逃げ出した馬が胡の良い馬を
たくさん連れて帰ってきました。

そこで近所の人達がお祝いに行くと、老人は首を振って言いました。

「このことが災いにならないとも限らないよ。」

暫くすると、老人の息子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまいました。

近所の人達がかわいそうにと思って慰めに行くと、老人は平然と言いました。

「このことが幸福にならないとも限らないよ。」

1年が経った頃胡の異民族たちが城塞に襲撃してきました。
城塞近くの若者はすべて戦いに行きました。

そして、何とか胡人から城塞を守ることができましたが、
その多くはその戦争で死んでしまいました。

しかし、老人の息子は足を負傷していたので、戦いに行かずに済み、無事でした。

この故事から「幸(福・吉)」と思える事が、後に「不幸(禍・凶)」となることもあり、
またその逆もあることのたとえとして「塞翁が馬」と言うようになった。

人間(にんげん)と解釈するのではなく、人間(じんかん)は「世間」のことと
解釈するのが正しい。

所謂、「世間の全て(禍福)は塞翁の馬のようである」という意味です。

私たちは常日頃から禍福に一喜一憂しがちですが、
泰然自若として「塞翁が馬」と笑い飛ばすことも大切かと思います。

幸福な時には心から満喫して、不幸が訪れた時には落胆せず、
この次はきっと幸福が訪れると思えば一生悩む事も無くなるかも知れません。

本年1年は塞翁の馬のように禍福の中を、
無事安全に駆け抜けて下さい。