波風

 

プールの中で泳いでいる時には波が立ちます。プールから出ると波は静かに成ります。

プールで泳ぐと心身に良い影響があります。しかし見ているだけの人には何も変化は起きません。
プールに自ら飛び込んで波を立てるか、何もしないで眺めているかはあなたの自由です。

しかし、自分が泳いでいるからといって、しきりに他人を誘いかけることはしてはならないのです。

言葉がなくて自分の泳ぎが上手だと、見ている方も自然と泳ぎたくなるものです。
バシャバシャ・バタバタもがくのではなく優雅な泳ぎ手にならなければなりません。

人間関係もこれに似ています。他人との付き合いはプールに飛び込むようなものです。

常に手足を動かさなければ関係は崩れて沈んでしまいます。
最初は波風が立ち、お互いに緊張しますが、徐々に慣れるので心配はいりません。

上手な付き合いができるとスムーズに心も身体も良い方向に進むものです。
少し泳いで少し呼吸をすれば問題ありません。無理をせずに自分に合った泳ぎ方をすれば良いだけなのです。

プールの上から見ている人は、緊張も無ければ泳ぐための息継ぎも必要ないのです。
そのかわりいつまでたっても信頼のおける人間関係をつくることができません。
同じプールで同じ泳ぎ手になり同じゴールをする事が大切な「絆」を作るのです。

プールに勢いよく飛びこんで見てはどうでしょうか。

頭からつま先まで全身ずぶぬれになってみんなの側までいくのです。
きっと笑顔で抱きしめてくれると思います。

上手な泳ぎ方も教えてくれると思います。
あなた自身が自ら泳ぎ手にならなければ、いつまでたっても変化はおきません。

波風を起こすのも楽しいものですよ。

私の友人の言葉です。「海はね、穏やかな時よりも少しぐらい波風が立った方が美しいのよ。
人生も少しぐらい波風が立った方が楽しいかもしれませんね」。私もそう思います。

おだやかな人生もよいのですが、すこし波風のある人生も楽しいとおもいます。

よくこの様な質問を受けます。「どのようにすれば良き人間関係を作る事が出来ますか」。

相手の気持ちが分からないから自分の本音も言わない。
嫌われたくないから傷つけないようにする。
メールのやり取りもあいづちを打つだけで疲れてしまう。

みんな良い人だから更に関係を深めたいのですがどうしてよいかわからない。

私が気になるのは最後の言葉です。
「みんな良い人」です。

良い人とはどのような基準で選んでいるのでしょうか。
上辺だけのやさしさや、見え過ぎた気づかいや、不愉快にならない笑顔のやりとりを総じて、
「良い人」と定義しているのでしょうか。

それは私に言わせれば「どうでもいい人」なのです。

本気で人生を語る時には互いの価値観の違いから言い争うかもしれません。
同じ目標に向かって歩いている時に怠けると叱責が飛んでくるかもしれません。
安易に失敗の言い訳などをした時には頭を叩かれるかもしれません。

泣いて笑って怒って傷ついて、それでも何度でも会いたいと思えるのが「良い人」なのです。

無理に好かれようと思わずに、嫌われてもよいとおもう関係から「良い人」が生まれるのです。

良い人の出会いを望むならプールに飛びこまない限り何も変化は起こらないです。
プールの上から眺めながらエールをおくっても伝わらないです。
一気に飛び込んでみてください。

プールの上からみていた景色とプールの中からみえる景色の違いに驚くと思います。
新たな感動もうまれると思います。
早く上手に泳げるようになれば良いですね。波風が立つプールも美しいものですよ。