愛の思いやり




地域のために子供のために老人のためにと活動を続けていますが、
気をつけなければならないことがあります。

以前、電車の中で両手に杖をつく身障者の方が電車に乗ってこられました。
出発の揺れで倒れそうになったので慌てて支えたら「私の体を触らないで」
と大声を上げられました。私は一瞬にして乗客の視線を浴びたのですが、
周りの視線より自分が何か悪いことをしたのか分からずに驚きました。

女性は興奮していたので「何か間違ったことをしましたか」と聞くことが
出来ず、友人の介護の専門家に尋ねたところ、身障者の方には絶対すぐに
手を出さない方が良いですよ、その方がどのような機能が奪われているか
分からずにサポートすると、大きな精神的トラブルを招くことがありますから
気をつけてくださいと言われました。

また同じように白いステッキを持たれている視力障害者の方にも
先ずは声をかけて「何かお手伝いすることがありますか」と
確認してからフォローしてあげた方が良いですよ。
間違ってもいきなり腕など掴むとパニックを起こす人もいますので
必ず声をかけてくださいとアドバイスを頂きました。

その昔、学生時代に下宿の前で痴漢にあった女性の悲鳴を聞いて、
すぐ痴漢を追いかけて捕まえたのですが、警察の方から犯人を
不用意に追いかけたら、あなたに被害が及びますよと言われました。

又、駅のホームで喧嘩している若者の仲裁に入ったところ、
通報で駆けつけた警察官に交番まで連れて行かれました。
何故、交番まで連れて行かれたのか分からなかったのですが、
もし残っていたら別の仲間から被害を受ける恐れがあるので
連れて来たと聞いて驚きました。

別の日に、電車の中で、大声で携帯電話を使う若者に注意したら、
次の駅で降りろと喚き散らされました。
彼は電話で「バカ親父に腕を掴まれたから何々駅まで来て」
と友達と話しながら威嚇するような態度を取り続けました。

私は昔からこういう非常識な人たちが許せないのです。
社会的マナーに欠けた人を見たらすぐに注意をしてしまうのです。
しかし正しいと思う行為も後先を考えずにやってはならないと学びました。

家内から、これは自分勝手に正義の行為だと勘違いしているのよと
言われて戸惑ったことを覚えています。自分のことや、家族のことや、
仕事仲間のことを考えたら、万が一怪我をさせられて死に至ったら
どうするのだと叱られました。その通りですね。

小さい頃から悪いことはしては行けない、困っている人がいたら助けなさい、
弱い女性を守りなさいと言われ続けたので、正しい行為をしなければ
「真の男」になれないと頭に刷り込まれているからです。

「義を見てせざるは勇無きなり」論語
自分の役割をしっかり果たしていくには、自分の立場もあるし、
自分の今の状況もあります。しかし、自分がどんな状況にあっても
「義」は果たさなければいけない。

それを「義を見てせざるは勇無きなり」と『論語』ではいいます。
「勇気がない」と言われているわけです。やはり「義」を果たす、
自分の役割を果たすということが非常に重要なのだということです。

先日見たMSの投稿記事にこのような内容がありました。

「女子高生による暴挙」そしてなんと、足を蹴られた。」
妊婦初期の友人がバスの優先席に座っていたところ、
面識のない女子高生から席を立つように促されたという
投稿が大きな議論となっている。
女子高生は友人の足を蹴り、近くにいた老人に着席を促した後、
友人がつけていた妊婦マークに気づく。「やべぇ、妊婦じゃん」。
友人が空けた席にお年寄りを座らせたという。
だから悪い子じゃないと思うけど、怖かったと言っていた。

正義感が根っこにある攻撃ほど怖いものはないと、その時知った。
私が今まで行って来た正義感は周りの人たちに大きな迷惑と
恐怖心を与えてしまっていたのだと思うと申し訳ない気持ちで
いっぱいになります。勘違いの「愛の思いやり」でした。

まだまだ未熟です。

心を探す時に読む本
「禅とは何か」鈴木大拙、「善の研究」西田幾多郎、「現代の哲学」木田元、
「忠誠と反逆」丸山眞男、「モオツァルト・無常という事」小林秀雄、
「存在と時間」ハイデガー、「哲学の学校」カールヤスパース 
「論理哲学論考」ヴィトゲンシュタイン、「人間の自由の哲学」スピノザ

人を救う時に読む本
「レジリエンスを育てる」心理療法師ミルトンエリクソン
「愛という勇気」スティーブンギリガン

これらの本はあくまでも参考として取り上げました。
今まで「恩学」を書くにあたって何百冊(何千冊?)も読み続けました。
いわゆる心のサプリメントとして服用したのです。

みなさまも時間のある時にネットや図書館などでお読みください。
その中で自分が納得した本だけを購入してください。
(ブックオフや古本屋で安く購入もできますよ)

人生とは愛とは真実とはが分かります。

正義を行うか見ないふりをするか?
もしそれを子供たちが見ていたらどうするのか?
余りにも他人に無関心な大人が多すぎると思います。

今でも困っている人がいれば、
私は立ち上がって注意をしに行ってしまうでしょう。
しかし勘違いの「愛の思いやり」にならないように
気を付けたいと思います。