対人関係
「智で計画し、理で行動を起し、情で判断する。」
智慧で計画して論理的に組み立て情緒的に判断する。骨組みは過去から学び行動は現実で動く。「温故知新」
しかし論理的だけの人は理屈が先行して行動が伴わない。そして情緒だけの人は人情におぼれて失敗をする可能性大である。
更に現代の人は「道理」を忘れている。
「道理」とは人として行う正しい道。善悪でいえば善と呼ばれることの行い、倫理的に人として正しいことを行うことを意味します。
強制的な法律の解釈ではなく人としてのつながりの掟である。
良いか悪いかではなく人間関係のバランスの問題なのである。それぞれの事情に応じて解決を図り秘密を守ることが基本である。
強いものには厳しく弱い者には手を差し伸べる「弱者救済」の考えである。
道理は「自分勝手では道理が通らないよ」というように使います。
大勢の人が住む町の中では自分よりも他人を意識して「親切」が基本でした。他人を意識した親切「江戸しぐさ」の由来を紹介します。
江戸時代は参勤交代などで武士以外にも大勢の商売人や職工や家具職人や料理人などが入り込んで町は拡大されて、一気に人口が増加されました。
大阪、京都、伊勢、近江、河内、上信越や関東各地より多くの商人が来ましたが、商いの習慣や生活文化の違いから争いごとが多く起こりました。
そこで町名主や町衆たちが、平和で住みやすく、町が発展し栄えるための「手だて」を講じました。当時これを「繁盛しぐさ」と呼び、それぞれのしぐさに名前を付けて、子供や孫に教え伝えました。
これが後々「江戸しぐさ」と名称が変わり江戸から明治・大正・昭和へと伝承されました。
「七三歩きのしぐさ」、「傘かしげ」、「こぶし浮かせ」、「韋駄天しぐさ」などの往来しぐさを「お目見えしぐさ」といって身に付けさせたのです。
更に「耳順しぐさ」「年寄りしぐさ」「失せ物しぐさ」などお年寄りの接し方の心得についても教えたのです。周りの人に言ってはいけない言葉や、生活面や子育ての仕方など、ご近所のお付き合いなどにも配慮した「しぐさ」も豊富にあります。
「道理」は倫理的「しぐさ」は情緒的に使い分けると人間関係が円滑になります。
海外の大都会、ロンドンやパリ、ニューヨークなどにもマナーとしてルールはありますが、「江戸しぐさ」のように多国籍対応の「おもいやり」的な教えはありません。
世界の人たちが争いごとから抜け出して平和に暮らしていくためには宗教的な価値観だけではなく、人間としての「おもいやり」を取り入れることが大切です。
日本には「しぐさ」以外に「互助」という互いに助け合う精神があります。また、「合力」という暗黙の制度があります。力を合わせて助け合う精神です。