感動を作る
以下の10項目の内、幾つかが該当すれば感動を作る事が出来ます。
① 邪心が無い(損得の利益を求めない)
② 喜怒哀楽が明確(感受性がわかりやすい)
③ 常識がある(一定のルールとマナーを知っている)
④ 憐みの情がある(悩んでいる人を見捨てる事ができない)
⑤ 自然を愛している(万物の移り変わりに敏感)
⑥ 健康である(身心ともに健康で有る)
⑦ 読書が好き(文書からイメージを浮かべる事が出来る)
⑧ 旅行が好き(名山大河を闊歩するのが好き)
⑨ 音に敏感である(自然界の音にも反応できる)
⑩ 無償の愛をもっている(与える愛を知っている人)
主人として感動を作るのであって、ゲストとして受けるのではありません。
与える感動を意識した事がありますか。世の中には頂く感動は多く存在します。
頂いた感動を人に伝えることも与えることになります。
大切な事は感動への恩返しです。あなたがこれから先幾つの感動を作れるかが楽しみです。
「初めての愛」
離婚したばかりの妙子(32歳)は、息子健一(10歳)と二人暮らしである。
親子二人の住むマンションはペットが飼う事が出来ない。
ある日ずぶ濡れの息子が子犬を拾って来た。
妙子はすぐに元の場所に戻すように健一に言う。
しかし、健一は頑なに拒み続けた。
子犬をみると後ろ足が引きずるように歩く障害が目についた。
多分生れた時にその障害が原因で捨てられたのだと思った。
妙子が、何度も健一に拾った場所に戻しなさいと言っても、健一は聞こうとしなかった。
仕方なしに妙子は、それじゃ同じような子犬を買ってあげますから、
それでいいでしょうと交換条件を出した。
勿論、このマンションではペットを飼う事が出来ないのだが、
隠れて小型犬や猫を飼っている住人が居ることを知っている。
どうせ育てるなら健常の犬の方が、気が楽だと考えての結論である。
しかし、健一はそれじゃ駄目なんだと泣きながら子犬を抱きしめた。
この犬は親と離れ離れになって可哀想なんだよ。
僕を見て泣きながら後をついて来たんだ。
だからこの犬を守ってあげたいんだ。
この犬は僕を必要としているんだ。
健一は子犬と自分の寂しさを重ね合わせたのかもしれない。
妙子もそれを感じて黙ってしまった。
分かったわ、それじゃ二人ともお風呂に入って体を乾かしなさい。
そしてこのチビ犬の食べ物も買いに行かなくっちゃね。
勿論、近所の人には見つからないようにね、と健一にウインクをした。
妙子は出かける用意をしながら、健一と子犬のはしゃぐ姿に思わず涙を浮かべてしまった。
健一は夫と離婚してから無口に成り、何も欲しがらない子供になった。
そんな健一が、自分以外のものを守りたいと、妙子に言ってくれた事に涙が浮かんだのである。
妙子が本当に守りたかったのは、子犬以上に健一との親子の強い絆だった。
その時、お風呂場から出て来た子犬が妙子の足をなめていた。
妙子はくすぐりを感じながら、これから親子二人と一匹の新しい暮らしが始まるのだと思った。
些細な所にも目を行き届かせると「感動」は沢山存在します。
「感動」に気付く心も「感動を作る」ことになるのです。